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科学研究費採択課題詳細 2006年度

国際比較に基づく日本型環境教育の理念的モデルに関する研究

研究課題名 国際比較に基づく日本型環境教育の理念的モデルに関する研究
研究種目等 基盤研究 (C)
研究概要 (研究実施計画)
 18年度はアメリカ型環境教育プログラムに関する分析と考察を中心に行う。
 アメリカ型環境教育プログラムの多くは,各推進団体が開催するワークショップ等の講習会に参加しなければ,テキスト等の教材を入手することができない。そこで,これまでに,プロジェクト・ラーニング・ツリー,プロジェクト・ワイルド,プロジェクト・ウェット,ネイチャーゲームについて国内の講習会に参加し,ファシリテーター等の指導者資格を取得すると共に,各プログラムの指導マニュアルを収集している。ただしアース・エディケーションや,プロジェクト・ワイルドの前身となったOBIS(Outdoor Biology Instructional Strategies)等に関して,資料収集の十分ではないところもある。したがって,本研究の開始にあたり,これら不足している資料の収集に努めると共に,入手した資料等からアメリカ型環境教育の特徴を分析する。
 とりわけアメリカで最も普及しているプロジェクト・ワイルドは,カリフォルニア大学バークレー校のローレンスホール研究所によって開発された上掲のOBISやGEMS(Great Exploration in Math and Science),さらにはプロジェクト・ラーニング・ツリーやSharing Nature Foundationのネイチャーゲームとも関連が深いと言われているが,その詳細は明らかではない。本年度の研究では,これらの内容と相互の関係も明らかにしたいと考えている。さらに,プロジェクト・ワイルドの発展型とも言うべきプロジェクト・ウェットとの関連についても考究するつもりである。
 さらに,アメリカの自然思想という観点から見た場合,スティーブ・バン・メーター(Steve Van Matre)によって提唱されたアース・エディケーションの動向が注目される。アース・エディケーションは,我々に生き方そのものの根本的な変革を迫る,一種の思想的運動であるため,現実にはアメリカでも,一部の信奉者によってしか支持されていないようであるが,私見では,メーターの指摘と主張は極めて正当なものであり,エマーソン(R.W.Emerson)やソロー(H.D.Thoreau)に淵源をもつアメリカ自然思想の現代における潮流を見るという意味でもまことに興味深い。アース・エディケーションについて,日本ではまだ断片的な紹介があるのみで,その全体像は十分に理解されてはいない状況にある。そこで本研究では,このアース・エディケーションについても検討を加えてみたいと考えている。
研究者 所属 氏名
  政治経済学部 助教授 柴崎文一
補助金額(千円)
※直接経費のみ
200
研究期間 2006.4~2010.3
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