特定課題研究ユニット詳細 2006年度

神田まちづくり研究所

研究所名 神田まちづくり研究所
研究課題名 千代田区神田地域の産業創出と環境整備の推進
研究所概要 (研究目的)
本研究所の目的は次の三点である。
1)神田地域の整備・活性化に関する文理融合型研究機関を創設すること。
2)地元市民・企業や行政機関との社会連携を図り,研究成果を地域へ還元すること。
3)事業具体化のためのタウン・マネージメント組織の創設を支援すること。
地域の発展は物的環境の整備,コミュニティ活動や経済活動の活性化の両面,いわゆるハードとソフトの二つの側面から推進されなければならない。学内ではすでに建築学,経済学,商学の文理それぞれの専門領域から,商業活性化,新産業創出,都市環境整備など神田地域に関する研究調査が行われてきた。しかし,それらは個別の研究にとどまっており,研究交流はほとんどなされてこなかった。そこで,文理両系をまたいだ学内研究組織を立ち上げ,神田地域の整備・活性化に向けた総合的な研究調査活動をめざす。
(成果達成のイメージ)
研究成果を地元に還元し,事業として具体化するために,地元の市民や企業,行政機関と連携しながら研究を推進し,施策の提案を行っていく。さらに,事業の具体化のために,タウン・マネージメント組織の立ち上げも視野に入れ,地元市民の支援を行っていく。

(2006年度の研究実施概要)
1.神田都市史の調査
1)戦後地形図のデータベース化と都市建築の変遷の分析

 バブル期前後の1981年から1996年まで,5年ごとの土地利用現況図をGISでデータ化した。
2)震災復興前後における街区と敷地の変容
 関東大震災前後の大正期および昭和初期における神田の都市構造,ならびに敷地所有者の変遷を地籍台帳などより分析した。

2.新産業創出のための基礎調査と事業の提案
1)老舗企業のビジネス特質に関する研究

 神田地区には100年を越す老舗企業が様々な分野に数多く散在している。それらの企業は江戸時代や明治時代の初期の頃に創業されてから,大正,昭和,そして今日の平成の時代まで生き延びてきたのである。人々の価値観も慣習もライフスタイルも,あるいは街の景観を始め,あらゆる街のあり様も大きく変化してきたにもかかわらず,現代においても多くの顧客を獲得し,その信頼を得続けていることは,たとえ企業規模は小さくても驚異の眼差しを向けずにはいられない。こうした企業の経営特質や組織特質,マーケティング特質等を明らかにすることは,未来に生き残るべく努力をしているすべての企業にとって最も不可欠な情報を見出すことにほかならない。大企業であっても半世紀も持たずに倒産したり,諸々の不祥事のために顧客の信頼を失ってしまったりする企業が少なくない現代においてこそ,老舗企業のビジネス特質に関する研究の重要性が認められる。このテーマの下に商学部学生がゼミナールを基盤とするいくつかのグループを形成して参加し,老舗ビジネス関連の文献探索や老舗企業の研究者あるいは経営者の講義を聴講し,また老舗企業へのインタビューやアンケートを行うことによって研究を行った。その成果を発表し,また論文としてまとめ,明治大学商学部奨学金懸賞論文への投稿を行ったり,商学部発行の「商学セミナー」に掲載されたりした。
2)地域活性化の研究
a)神田神保町地区の飲食業は多種多彩であるが,なかでも意外と個性的なカレー店が古くから繁盛し続けていることから,このカレー店を核とする新たな神田の魅力を発信できないかとの課題を設けて,先達としての横須賀地域のカレーによる街興しを見学したり,カレーの専門家の講義を聴講したりしながら,神保町としてのカレー店の魅力を商学部の学生グループが探った。その成果は明治大学ホームカミングデーにてリバティアカデミー「カレー探訪講座」の学生研究として発表した。また参加グループの1つが,神保町カレー名店マップを作成し,学内および各カレー店にて広く配布した。
b)明治大学商学部,小川智由ゼミナールの3・4年生合計41名が,千代田区商工振興課からの委託事業として,フリーペーパー『QooRan』(クーラン)を編集発行した。千代田区の地域活性化事業である「千代田区新400円夢事業」の一環として,A4版全カラー48ページで3万部を印刷し,主に千代田区内で配布した。内容は,千代田区内を5つの地域に分けて,街の特徴ならびに全部で97の小売店,サービス業,飲食店を紹介したものである。なお同冊子は,pedeLia aLLiance group主催による「第1回学生フリーペーパーコンテスト」において,応募47団体の中で優勝した。

3.都市環境ヴィジョンの作成
 神田地区の街づくりの実態を調査し,共同建替えや環境整備に関する将来ヴィジョンを検討した。とくに,神田の歴史性の解釈,都市計画上の諸問題の解決方法などに取り組んだ。
1)地区計画によるワンルーム形式集合住宅の規制誘導に関する研究
千代田区型地区計画を導入した7地区におけるワンルーム形式集合住宅等の建築の実態を把握し,狭小住戸を規制した地区計画の改正後,住戸規模が拡大していることを明らかにした。
2)多様な世帯の居住促進のための共同建替え計画の提案
多様な世帯の居住促進の将来イメージの共有化をめざし,千代田区型地区計画導入地区において街区内の敷地を統合し,商業・業務機能を複合した共同建替えのリーディングプラン(複数案)を作成した。
3)神田川ウォーターフロント再開発の将来イメージの提案
淡路地域街づくり計画推進協議会が提案している神田川の万世橋~昌平橋の左岸街区の再開発の将来イメージの共有化をめざし,水上バスの係留可能なウォーターフロント再開発のプラン(複数案)を作成した。
4)屋外空間の緑化と緑のネットワークプランに関する研究
神田地域における屋上緑化や一定規模以上の開発に伴う緑化制度などの現況を把握した。
5)繁華街おける風俗営業の規制誘導方策に関する研究
神田駅周辺における飲食店の分布,風適法による風俗営業の規則,家守事業などの現況を把握した。

4.i-Residenceの検討
 i-Residence構想とは,学生を都心に居住させ,地域コミュニティのさまざまな活動や地元企業のインターンシップなどに参加してもらう仕組みのことである。このような活動に参加することで,学生は社会問題の発見,キャリア形成,人格形成などの貴重な機会を持ち,居住費の軽減という経済的メリットも得られるようにする。また,地域コミュニティは若い人材が加入することで,防犯・防災活動,環境整備活動,福祉活動,懇親活動などを活性化することができる。本年度は,こうした構想の実現に向け,地元市民,行政関係者,企業関係者などと研究会を行い,成果報告書を作成した。
研究者 所属 氏名
  理工学部 助教授 田路貴浩
  理工学部 助教授 山本俊哉
  理工学部 講師 松本勝邦
  理工学部 客員教授 藤木隆男
  政治経済学部 教授 森下正
  商学部 教授 水野勝之
  商学部 教授 大友純
  商学部 教授 小川智由
研究期間 2005.4~2010.3
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