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明治大学商学部福宮賢一教授(前学部長)インタビュー

明治大学商学部 ”新世紀”の幕開け 新たなチャレンジでさらなる進化をめざす

商学部教授 福宮賢一

新生商学部は教育改革から始まった

明治大学は1881年に法律学校としてスタートしましたが、私立大学としては初めて商学部を設置したこともあり、長らく「商科の明治」「明治と言えば商学部」という評価をいただいてきました。近年とくに大学を巡る環境が厳しさを増す中で、従来の評価に安住することなく時代の要請に向けたさらなる新しい展開を図り、この評価を一層高める必要が強く認識されるに至りました。そこで、設立100周年を機に、市場経済の様々な側面を学べる幅の広さを持つ明治大学商学部の魅力を強く訴えることにしたのです。私が学部長に就任したのは、学部創設100周年記念行事が終わり、『商学部第二世紀』のスタートのときでした。この新しい一歩として最初に着手したことは、現代的な魅力ある学部を目指した教育改革でした。5つの項目からなる改革を学部創設101年目に一つのパッケージとしたのです。

「Project 101」における5つの改革ポイント 1.演習教育のダブル・コア化 2.クリエイティブ・ビジネスコースの開設 3.実践的な多言語4年間一貫教育 4.学部独自の国際交流の拡大 5.完全セメスター化の促進

このうち「知の融合と創生」というコンセプトに最も関連の深いものがダブル・コア化です。これは、従来型の専門系のゼミに加え教養系のゼミも3年間同時に選択できるというカリキュラムで、例えばマーケティングを勉強しながら心理学を学ぶといったように、自らの関心に従って専門と教養の2つの知を融合させ、新たな世界観を創生してもらうことを目指したものです。これまでの教養教育と言うと広く浅くというイメージがあるかと思いますが、教員の専門性が十分に生かされるゼミという場で3年間学べば、深い教養を身につけることは可能です。幸い学生やご父母にも非常に好評で、従来の教養教育を進化させたこの制度は他大学にも他学部にもない画期的なものだと自負しています。

今ビジネスの世界では、専門的な知識はもちろんのこと、広い視野を持った人材が必要とされています。また、近年は市場経済マシンのような経営者が暴走し問題となることも多いですが、その反省として総合的な判断力や倫理観を持った人材も強く求められています。明治大学の商学部からは、こうした社会的要請に応えられる人材を送り出していきたいと考えています。

新生商学部は教育改革から始まった

商学部では3年次からコースを選択しますが、産業構造の変化に対応するとともに既存の学問体系にとらわれないコースとして、新たにクリエイティブ・ビジネスコースを開設したことも今回の改革の成果です。起業や新たなビジネスモデルというものに焦点をあてた科目を多く提供し、希望者も増えています。商学部ではコースといっても閉鎖的なものではなく、そこに軸足をおきつつ半分は他コースから科目を選択することが可能なカリキュラムですので、新たなコースの開設は他コースの学生にもよい刺激になっています。

また、私は明治大学商学部の学生に専門、教養、語学のすべてに強くなってほしいという思いを持っているため、語学教育や国際交流にも力を入れました。従来の語学教育は1、2年時の必修科目が中心でしたが、今回の改革で多言語を4年間徹底的に学べるカリキュラムとし、「発展外国語」「英語重点プログラム(SOCEC)」といった科目・プログラムも開設しました。入学後には全員がTOEICを受験しています。交換留学に関しても、他学部に先駆け学部独自の協定校を設定し、フランスやドイツなどの大学と積極的に交流を行い、人数も年々増えています。さらに、国際交流フォーラムを立ち上げ、パネルディスカッションや国際交流ランチを学生主体で開催しているほか、「留学生サポーター制度」も発足しました。9月入学の欧米の大学への留学を考慮した完全セメスター化への流れも整い、商学部はグローバルな視野を持った学部へと変わりつつあります。

新生商学部は教育改革から始まった

「Project 101」はこのまま発展的に継続していきますが、昨年7月、さらに次のステップへ向けて、①早期卒業制度による大学院教育と高密連携の推進、②日本商工会議所との包括協定に基づく多面的連携の推進、③商学部海外協定校との高度国際連携の推進の3つを柱とした「Project 103」を立ち上げました。今回のキーワードは「知の高度・高密連携」です。「101」は学部内の改革中心でしたが、「103」では外部との連携強化によって商学部を進化させていくという位置づけです。

「Project 103」における3つの改革ポイント 1.早期卒業制度による大学院教育との高密連携の促進 2.日本商工会議所との包括協定による多面的連携の促進 3.商学部海外協定校との高度国際連携の推進

まず大学院との連携に関しては、 今年度以降の入学者を対象に大学院進学希望者を中心に3年次での卒業を認める制度や、学部時代に大学院の単位を先取りできる制度を作りました。本学の商学研究科や会計専門職研究科への推薦入学制度も用意されています。さらにグローバル・ビジネス研究科への推薦入学制度導入の検討が始まっています。近年、本格的な専門教育はやはり大学院でという考え方が主流になりつつありますが、学部から大学院への道筋をより太くしていくことで、専門性の高いビジネスパーソンを育てていきたいと考えています。

日本商工会議所との連携においては、各種資格講座の開設や地域活性化のための人材育成プロジェクトを共同で行い、今後も様々な側面で協力体制を強めていこうと考えています。ちなみに、日本の大学が学部単位で日本商工会議所との協定を結んだのは初めてのことです。特にUターンを希望する学生やご父母からは、地方の商工会議所とのつながりが持てるということで好評いただいています。

海外協定校との連携については、大学全体の協定校のほか、学部独自の協定校として、カーディフ大学カーディフ・ビジネススクール(イギリス)、レンヌ商科大学(フランス)、ブレーメン経済工科大学(ドイツ)、西北大学(中国)があり、交換留学を中心とした交流が進展していますが、今後はこの協定校をさらに拡充すると同時に連携の強化もはかっていきます。具体的には、サマースクールの開催や教員の相互派遣、共同研究などを検討しています。例えば先方の教員を明治大学に招きEUの市場について母国語で講義をしていただくといった展開ができれば、学生の国際的な視野も大きく広がり、大いに意識も高まってくるだろうと期待しています。

明治大学の商学部の良さは、生きた学問を学べるということに尽きます。その代表的な例がゼミの学生が主体となって、店舗運営事業を立ち上げたり、商店街の活性化や地域おこしにかかわったりする広域連携支援プログラム(現代GP)でしょう。これは、教室で教員が教えて学生がノートをとるといった学びとは全く違う形のものです。このプログラムを通じて実際のビジネスの場での責任感と緊張感を知った学生の驚くほど大きく成長した姿を見るたびに、大学の教育力と地域の教育力が良い形で融合した高レベルの教育が提供できていることを実感します。

「Project101」「Project103」をはじめとする様々な取り組みによって、教育改革の枠組みは整いつつあります。学生や教職員の協力を得ながら、今後とも立ち止まることなく進化を続けていくとともに、明治の商学部で学ぶことの魅力を最大限にアピールしていきたいと思っています。

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