商学部の現場

CASE06

ファッション・ビジネスは
商学部で学べ!

今、世界ではすさまじい速さでグローバル化が進んでいる。これはファッション業界にもいえること。
海外市場での出店を急加速するアースミュージック・アンド・エコロジーの運営企業クロスカンパニー。不動のラグジュアリーブランドであるシャネル。店舗運営やロジスティクス、広告、会計、マーケティングに支えられて成り立つファション・ビジネスの仕事は、これからも成長が期待される分野だ。
デザイナー主体の業界からマネジメント主導のビジネスにしていこう、そのような考えのもと明治大学商学部ではファッション・ビジネスに力を入れており、関連する授業も多く開講されている。

デニムブランドの新しいプロモーションを考える

「ファッションが好きだ」「流行を生み出す仕事に関わりたい」「おしゃれを演出したい」。そんな学生はきっと少なくないだろう。ここで紹介するのは、商学部に多くあるファッション・ビジネスの授業の中でも座学と実践、海外研修が一つとなっている授業だ。
「斬新なデザインのiPhoneカバーを考える」「デニムブランドの新しいプロモーションを考える」。そんな課題をもらって授業は始まる。これをもとに学生はコンセプト、ターゲットの設定から、コストや利益まで考えて企画を行い、最終的にはファッション・ビジネスのプロの前でプレゼンを行う。

どうすれば売れる?

発表に向けて費やす時間は主に授業時間外。アンケートを作って学生に配布する、現場に出向く、学生だけで集まって話し合いを行うなど多くの時間を使う。「体力的につらい部分もあったが頑張れたのはチームでの活動だったから。つらい時こそ仲間の存在を大きく感じた」。授業は現状報告の場と化し、パワーポイント一枚の画面からはじまる言葉のやり取りの中で、学生たちは大きく成長する。コンセプトを伝えるたった一言でもたくさんの指摘を受け、次の授業でのよりよい発表へとつなげていく。

最終発表の前日。受講生はチームメンバー全員で確認を行い、褒め言葉を期待して発表に臨んだ。ところが、当日企業からもらったのは多くの鋭い指摘だった。ターゲットの調査不足、数字の裏付けの少なさ、専門知識の不足…、大人が求めるプレゼンの質は学生の想像より遥かに高かったのだ。「自信を持ってプレゼンを行ったが、まだ甘い部分があったことを思い知った。専門家に見てもらうことで、足りない部分に気がついた。指摘してもらうことで次の発表の質が上がっていく」。仲間との協力により得られる強さ、そして先生や企業の方々の協力により、学生たちは成長をすることができた。

いざ、ポーランドへ

半期の授業を終えたあと、学生はポーランドへと向かう。現地での10日間の研修の前半では、実際の縫製工場の見学や機織りの体験をする。たくさんの職人がミシン台で作業している部屋や、大きな布を切る断裁機のある部屋などを見てまわりながら、これから何を作ろうか、どんなものが作れるのか、自分の夢と照らし合わせながら想像を膨らませた。

ファッションへの想いは万国共通?
打ち解けた雰囲気でレポートもはかどる

そして後半の5日間、学生たちは実際に学校に通う。そこに待っていたのは個人でブランドを立ち上げたポーランドの美大生たち。学生は現地の美大生と二人一組でチームを組み、彼らのブランドをどう世の中にアピールしていくかをビジネスの観点から話し合う。話し合いで使うのは当然英語。専門用語の飛び交う会話はまるでビジネス英語の実践でもある。「日本人に説明するのも難しい図を、英語で説明しなければならないのは本当に大変で苦労しました」。

学生に与えられた期間はたった5日。現地の学生とできるだけ多くの時間を共有して話し合いをした。寝る時間も惜しんで活動する日々が続いた。最初はパートナーとの言語の違いに大きな不安を持つ学生も多くいた。しかし連絡を取り合い、ともに作業を行ううちに、最終的には協力して発表を行うことができたという。「実際にモノづくりをしている学生とチームを組んだので、会話がとてもリアルなことが、新鮮で刺激的な体験でした」。これこそまさにデザイナーとビジネスパーソンとのグローバル・コラボレーションである。

興味は新しい可能性の宝庫

このプログラムで大きな決心をした学生がいる。「英語を使って一対一で伝え合うことに自信が持てた。このプログラムへの参加が、ファッション・ビジネスを学ぶために留学をする決意へとつながった」と話すのは昨年受講した藤田さん。彼は春の短期留学を経て、大学を休学し留学をする決意をした。「プログラム前には留学自体、視野になかった」と語る彼も、このプログラムを経て着実に大きく前へ踏み出している。

ほかにも「外国の学生と関わることで視野が広くなった」という声や、「ファッションにしか興味がなく語学はおろそかにしてきたけれど、語学力の高さは考え方、情報を得るうえで自分が有利になる便利なものとなることに気がついて様々な勉学に興味がわいた」という声も聞かれた。辛くても頑張れるのは興味があったから。参加者は口をそろえて「大変だったけど苦ではなかった」と言う。

多くの可能性が秘められたこの商学部で、学生たちは少しでも興味のあることに思い切って足を踏み入れ、思わぬ成長や新しい可能性を発見している。あなたも興味への一歩足を踏み出してみてはどうだろうか。

Editor

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