CASE16
~チャンスはアクションから~
千代田区と連携した「CHIYOMO」というフリーペーパーや、京王電鉄、東京都交通局と連携した「東京カメレオン」というリーフレットの制作を行っている学生たちがいる。参加学生はゼミ活動を通して自分自身や所属する集団の成長を貪欲に求めていた。
彼らが経験した困難や失敗、そしてその先にあった成長とは…。
「CHIYOMO」とは、(明治大学駿河台キャンパスがある)「千代田区をもっと知ってもらう」を略したタイトルであり、千代田区役所の区民生活課の依頼によって、小川ゼミナールの2年生が発行・制作・編集を手掛けているフリーペーパーである。
この活動で学生たちは人と人との間に信頼関係を築く難しさを感じたという。「社会人としてのマナーを何も知らない自分たちが、担当者との間に信頼関係を築くことは簡単ではありませんでした」と話してくれたのは、昨年制作を終えた3年生の仁平伸朋さん。では、行政担当者との間に信頼関係は生まれないままだったのだろうか?
「このままではいけないと感じ、社会人としてのマナーの前に人としてのマナーは必ず守る、一度した失敗は二度繰り返さないなど、まずは自分たちの誠意と熱意を伝えることに力を注ぎました。徐々に信頼関係が生まれていることが感じられました」。この活動を通して学んだことは、誰かの気持ちや行動を変えるのは、人の熱い思いに接した時なのだということであった。
「東京カメレオン」とは、京王電鉄と都営地下鉄沿線を対象とした街の魅力を伝える広報活動である。3年生が施策の一環として企業と連携しながらリーフレットの制作とフェースブックによる情報発信を行っている。企業との連携において、「ビジネスの世界では努力が必ずしも報われるわけではないと感じた」と話してくれたのは、春から活動を開始した3年生の高柳裕喜さん。努力が報われない世界とは一体どういうことなのだろう。そこで、彼の言葉の真意を尋ねてみた。
「努力しても中身を認めてもらえなければ採用してもらえない。社会では『努力は当たり前』でした。結果につなげるという自分たちの真の力が試される場だと思いました」。プロジェクトの参加学生たちは、一足早く社会の厳しさを経験した。そしていまも自分たちなりの結果を出すために、日々一層の「努力」をしている。
小川ゼミではこういった実践活動だけではなく、教室での学びにも力を入れている。教室の授業では主にマーケティングや流通・ロジスティクスについて学んでいる。「勉強で身につけた理論や知識があったからこそ『東京カメレオン』の活動で、企業のSNSの使い方について新たな戦略を考えることができたのです」と4年生の中屋真里奈さんは言う。
実践を行うには事前に様々な学問の知識を身につけていなければならない。勉学にも実践にも力を入れるということは、たくさんの時間と努力を要することで、誰もができることではない。このことを当たり前のように行うゼミ生たちの姿を目にし、ゼミ活動に対するゼミ生の熱意を強く感じた。
成長のチャンスを求めて、このゼミを選んだという学生たち。しかし、ゼミの一員になっただけでチャンスがやってくるというわけではない。「ゼミがはじまったころはみんな受け身でした。でも、待っていてもチャンスはやってこないのです。チャンスはいつも自分たちのアクションから生まれるのだと思います」と話してくれた3年生の佐藤宏哉さん。あなたはチャンスをただ待つだけですか? それとも掴みに行きますか? 小川ゼミで成長できるチャンスを掴みとれるか、それもあなたのアクションしだいだ。
「ゼミに入る前は、ゼミで『自分』がいかに成長できるか、ということを考えていました。しかし、ゼミ活動においては、この『集団』がいかに成長できるかということを考えて行動していました」と話すのはゼミ卒業生の大藤三楠子さん。
「何か小さなことを一つやるにしてもその背景には数えきれないくらい多くの人がいる、ということに気づきました。私は、そんな人々をいかに喜ばせられるかということを大事にして行動する人でありたい」と話す中屋さん。
「このゼミには、成長を求める人が集まります。自分の力を高めたい、成長したい、そういう熱い思いを持った仲間たちと過ごせることは、自分たちの大学生活の中での一番の経験になると思っています」と笑顔で力強く語ってくれた高柳さん、佐藤さん、仁平さん。
学生たちが大学生活で得た一番の財産は、お互いを高めあえる仲間に出会えたこと。自分自身の成長を求めて集まり、ゼミ活動を通して自分自身だけではなく集団としても成長していく。そして卒業後も成長を追い求めるゼミ生たち。あなたが、いま成長を求めているのなら、次に入るのはこの集団かもしれない。
高山千尋
商学部2年
原谷未希
商学部2年
松堂祥貴
商学部2年