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平成20年度 質の高い大学教育推進プログラム(教育GP)地域・産学連携による自主・自立型実践教育とは?

社会が求める人材

近年、社会人になってすぐに離職する若者が多いことが話題になっていますが、その要因の一つには、これまで「受け身の姿勢であった学生」がいざ社会に出た時に、自分がそこで何ができるのかがうまくつかめない状況に陥ってしまっているという現状が指摘できると思います。多少受け身であっても、大学まではなんとか卒業することはできます。しかし、社会に出るとそうはいきません。黙って指示を待っていても誰も指示を出してくれない。いつか誰かが答えを教えてくれるだろうと思っていても誰も教えてくれない。それが、社会の現実だからです。

一方、社会の方が変化してきたことも大きいかもしれません。少し前までは企業も、社内教育や研修プログラムなどで、学生と社会人とのギャップを埋めるような教育機能を果たしてきました。しかし、厳しい経済状況が続くなか、企業側も新人に対してかつてのようにきめの細かい対応をしていく余裕もなくなってくると同時に、即戦力となるような人材を求めるようになっています。そうなると、当然、企業が大学に期待する人材育成のあり方も大きく変わってきます。

経済産業省では、社会に出て必要となる能力としての「社会人基礎力」を構成する主要素として、「前に踏み出す力(アクション)」、「考え抜く力(シンキング)」、「チームで働く力(チームワーク)」の3つの能力を特定していますが、まさにここで示された「自分で行動し考えるとともに、他者と協働して課題を解決していく」力がある人材が社会から強く求められるようになっています。

実際、企業では知識量や記憶力などはほとんど要求されず、それよりもむしろ様々な情報をどのように処理し自分の動きに結び付けていくかといった情報処理能力が求められていると痛感します。時には今の学生は「頭でっかち」という表現がされることもありますが、これは知識だけあって行動できないという意味だと思います。確かに、頭だけでは何もできません。知識は手足がついて初めて意味があるものになります。これから社会に出て行く学生には、社会から強く求められているこうした能力を十分に理解した上で、「自分で考え行動する力」を大学在学中にしっかりと身につけてもらいたいと考えています。そして、大学側も、社会で自らの能力を発揮できる人材を育成する教育を積極的に行う責任を強く感じています。