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  2. 商学部が「見える」インタビュー(商学部教授 若林幸男)

平成20年度 質の高い大学教育推進プログラム(教育GP)地域・産学連携による自主・自立型実践教育とは?

特別テーマ実践科目について聞きました!

空き店舗におけるマーケティング実習

商学部教授 若林幸男

―空き店舗におけるマーケティング実習とは、どういう授業ですか?
私の授業では、明治大学と神奈川県三浦市との産官学連携プロジェクト「なごみま鮮果」の運営を通じて、企画やマーケティング、プロモーションにいたるまで、商学のすべてを学んでもらっています。神奈川県の東京湾沿いにある三浦市は、いまや人口5万人を割り、横浜や川崎と比較すると地域格差が現れつつある地域でした。しかし三浦市は日本有数の遠洋漁業の基地であり、天然まぐろを中心に新鮮な魚介類が豊富に水揚げされる場所。そこで三浦市の特産物販売と観光紹介を目的に、アンテナショップ「なごみま鮮果」を神田地区に開店。三浦市の活性化に向けて、授業に参加する学生たち全員が尽力しています。またアンテナショップ運営以外の活動に関しては、NPO法人「わかば」を立ち上げ、地元のお祭りへの参加やフリーマーケットの開催、地域の清掃活動なども行っています。
―学生たちには、何を学んでほしいですか?
マーケティングを実践してみるとよくわかるのですが、“組み合わせる”という行為がひじょうに重要。プロダクト(生産)だけではもちろんだめだし、プロモーション(宣伝活動)だけが先立っても結果がついてきません。1つのテーマをあらゆる方面から検証、分析したうえで、社会で評価されるように最適な戦略、戦術をたてる必要がある。でもこの作業は人生においても同じですよね。自分の魅力や価値をしっかり見極め、そのポイントを社会に強くアピールしていく。これができる人はきっと、比較的自身が望んだ道で充実した人生を過ごせることでしょう。マーケティングにおけるノウハウを身につけることは当然ですが、そこから学びを派生させて、自分自身をコーディネートする力にまでつなげてくれることが理想です。
―この授業の成果は何かありましたか?
三浦市から「冷凍マグロの売り上げが伸び悩んでいる」という課題を受け、神田地区にあるアンテナショップ「なごみま鮮果」で「まぐろフェア」を開催したところ見事完売しました。またフェアの期間中お買い物してくださったお客様に、学生たちが一から企画したオリジナルのエコバッグをプレゼントしたのですが、エコバッグ導入前後をマーケティング調査した結果、導入後は複数の店で買い物をする、いわゆる“買い回り”のお客様が増え、さらに店舗ごとの客単価が大幅に高まるという成果を生みました。この成果を商学論文にして発表したのですが、学内で佳作に入るなど、多くの人から評価されました。今後も地域活性という目標に向けて、授業やNPO法人など、それぞれの特性を活かしながら多面的にアプローチしていきます。
―商学部の受験生へ向けてひと言お願いします。
まず理論を学び、それをすぐに実践。そしてその反省をまた理論に活かす。これが学問の持つ本来の姿ではないでしょうか。商学部はまさに理論と実践の学問。学んだことの1つひとつが、知識というよりも、体にしみついた理解として身になっていきます。興味がある方はぜひ来てほしいですね。
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