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ユビキタス教育

Apple米国本社,カリフォルニア大学バークレー校,スタンフォード大学,Blackboard Mobile社を訪問しました。

2011年10月26日
明治大学

Apple米国本社Apple米国本社

カリフォルニア大学バークレー校カリフォルニア大学バークレー校

スタンフォード大学スタンフォード大学

Blackboard Mobile社Blackboard Mobile社

2011年9月12日〜18日,アメリカにおける iTunes U などの映像配信への取り組みや最新のキャンパス・コンピューティングを視察するため,ユビキタスカレッジ運営委員長である針谷敏夫副学長を団長に,教学企画事務室職員,メディア支援事務室職員,ユビキタス教育推進事務室職員が,本学の iTunes U 映像配信で関係の深い Apple米国本社(以下,単に Apple本社),また,常に先進的なIT利用を進めるカリフォルニア大学バークレー校及びスタンフォード大学,世界75カ国以上で学習支援システムを提供する Blackboard Mobile 社を訪問しました。

 

最初に訪れた Apple本社では,最新の動向を中心に,Apple本社が考える教育環境,最新のモバイル導入状況をそれぞれの担当者から説明して頂きました。また,3年前から学生がiPhoneiPod touchを利用した学習環境を導入しているテキサス州のAbiliene Christian University(私立,学生数 約5,000人)の担当者とテレビ会議を通じて意見交換し,実際に現場で運用する上での貴重な意見を伺うことができました。本学でも中野新キャンパスの新設など,新たな学習環境の構築が進められていますが,今回伺った貴重な意見を役立てていきたいと思っています。

 

2日目に訪問したカリフォルニア大学バークレー校は,1868年に設立された州立大学で,10校あるカリフォルニア大学系列で最も歴史のある大学です。ここでは,コンピュータ・サイエンスの大学院でITディレクターをされている Eric Fraser さんから学生のPCに関するニーズやIT管理ポリシーなどについて伺いました。当大学院に入学する学生には,昨年入学した学生が選別した機種・スペックのPCが貸与される仕組みがあり,1つの種類に絞ることでサポート面やコスト面でのメリットがあることを聞くことができました。次に,iTunes U や独自のWeb動画配信システム「webcast.berkeley」の担当者から,授業の配信に関する技術的な話から iTunes U YouTube を含めて授業等をインターネットで配信する価値について伺いました。このように授業をインターネットで配信することの学生にとってのメリットとして,苦手な分野は何度も繰り返し見ることで授業を理解することができるようになること,また,自分の好きな時間に見ることができることで試験対策に利用されていることなどを伺いました。また,対面授業では教員の話に集中し,あらためてWeb配信を見てノートを取るような使い方をしている学生もいるということでした。教員にとっても,自分の授業の改善点を見つけるツールとしてのメリットがあり,また,学生がノートを取ることに固執せず,授業に集中することで,授業自体の質が上がったとの感想があることを伺いました。また,このような配信技術を共同で開発・展開していく目的のコミュニティーである「Opencast」や,その中のプロジェクトで教育コンテンツを配信・管理するオープンソースのプラットフォームである「Matterhornプロジェクト」の存在を知ることができたことが収穫でした。

 

3日目に訪問したスタンフォード大学は,IT企業の一大拠点として知られるシリコンバレーに位置し,世界中から優秀な学生が集まることで知られている私立大学です。学生数は約16,000人(学部:約7,000人,大学院:約9,000人)で,そのうち約10,000人がキャンパス内にある約250の寮で生活しているということでした。その学生たちにネットワーク環境を提供することが必須であり,その分野に携わる担当者の話を伺うことができました。学生は,その機種や用途に問わず,いくつでもデバイスをネットワークに登録することが可能で,学校側はその管理・サポートを実施しています。機種や登録数に制限を設けず,あくまでも自由な環境を提供することにアメリカの自由な精神を育む土壌を見た気がしました。また,iTunes U YouTube などへコンテンツを配信する部署の担当者の話を伺いましたが,その運営体制や抱えている課題などについては,本学と合致する部分が多く,今後の展開や運営体制の構築等に非常に参考となりました。

 

最後に訪問したのは,教育支援システム(本学のOh-o!Meijiシステムのようなもの)など,教育環境に関するソリューションを世界的に提供している Blackboard Mobile社を訪問しました。教育機関にとって,学生に学習環境や教育環境の情報に接してもらう機会をいかに増やすかが,近年の大きな課題となっています。その中でも,今回の訪問では,モバイル環境で利用される「Blackboard Mobile Central」と「Blackboard Mobile learn」を中心に話を伺いました。「Blackboard Mobile Central」は,キャンパスマップや学内のニュース・イベント情報,教員情報のデータベースなど,学生のキャンパスライフのポータルシステムとして利用されていて,もともとは,スタンフォード大学の学生が自ら開発したものを展開したものです。スタンフォード大学は,そのキャンパス面積が8180エーカーもの広大なもので,本学の3キャンパスを合計した面積の約120倍以上の広さがあります。「Blackboard Mobile Central」で作られた「iStanford」というアプリケーションを利用すると,どの建物でどの授業が行われているかの情報や,キャンパス内を走るバスの状況などをリアルタイムで知ることができます。本学のOh-o!Meijiシステムの今後の展開を考える上で,非常に役立つ情報を得ることができました。

 

以上のように,教育機関におけるIT(特にモバイル環境への展開)の利用について,アメリカの企業の最新事情と,実際にいくつかの大学で運用されている状況を視察してきました。本学においても,2000年にサービスを開始したOh-o!Meijiシステムの今後の展開や2010年からスタートした iTunes U での動画配信など,引き続き学生の皆さんにとって,より良いICTを活用した教育環境を提供していくために有意義な視察となりました。

 

訪問させて頂いた各企業の皆さま,各大学の皆さまの温かいおもてなしに,感謝致します。

教育支援部 ユビキタス教育推進事務室

 

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