─グローバル人材に求められる意識と行動─ コーディネーター:武田 巧/担当:芦沢真五、関山健、天木勇樹

グローバル化の進展の中で、国際的に活躍しうる人材に求められる能力は多様化・高度化している。本講座は、大学生がどのように国際的なキャリア形成をめざすべきか、適格にガイダンスすることを目的とする。様々な業種、職種において能力を発揮している傑出したプロフェッショナル、企業で先端的な人材発掘をしている専門家などを招聘し、国際的な水準のキャリア形成、実社会におけるキャリア開発について実例を紹介していく。講座の冒頭では、国際的な企業・組織における人材の動向、キャリア形成に求められる知識・経験・語学力について世界的な傾向を概観する。国際機関、日本国内および外資系の企業などの動向を分析するため、主要な企業や非営利法人の人事担当者から直接的な助言を得る機会を提供する。また、学生のキャリア・デザインにとって有意義な情報リソースや文献を紹介し、これらをもとに議論を深める。さらに、国際的な人材開発において、留学(とくに大学院留学)の果たす役割について事例を交えて論ずる。授業以外にも留学、インターンシップ、就職に関するセミナーへの参加を推奨し、受講者に自らのキャリア・デザインの在り方を客観的に分析する機会を提供する。

〈注〉履修にあたっては、「学部間共通総合講座シラバス」を参照のこと。

日程・テーマ・担当者
(1)4月11日(木) オリエンテーション

政治経済学部 武田、国際連携 関山、天木
東洋大学国際地域学部 教授 芦沢真五

初回は本講座全体のオリエンテーション。世界で活躍できるグローバル人材が求められている中で、大学生がどのような国際的なキャリア形成を目指していくべきかを、具体的事例を交えて紹介する。あわせて本講座全体構成の紹介、各講座の特徴や講師紹介を中心に、グローバルキャリアデザインのあり方をどのように学んでいくかを考える。また、本授業で各学生に課されるオンライン・ポートフォリオの運用と作成方法について説明する。
(2)4月18日(木) 世界を舞台に活躍するための意識と行動 アゴス・ジャパン代表 横山匡氏
現在の大学生がキャリアを積み重ねていく今後の日本において、社会の国際化は避けて通れない時代を迎える。このクラスでは「国際社会で活躍していくための意識と行動」を理解し、「自分らしさの実現」のために必要な「自己理解」(自己分析)と「自己表現」(プレゼンテーション)そして「将来へのビジョン」(エッセー)デザインのまとめ方整理する。(Part I)
(3)4月25日(木) 「自分らしく」グローバル社会で振舞うための自己分析と自己表現 アゴス・ジャパン代表 横山匡氏
現在の大学生がキャリアを積み重ねていく今後の日本において、社会の国際化は避けて通れない時代を迎える。このクラスでは「国際社会で活躍していくための意識と行動」を理解し、「自分らしさの実現」のために必要な「自己理解」(自己分析)と「自己表現」(プレゼンテーション)そして「将来へのビジョン」(エッセー)デザインのまとめ方整理する。(Part II)
(4)5月2日(木) 人生の選択肢を広げる留学の勧め 日本認定留学カウンセラー協会(JACSAC)星野達彦
大学生から「留学すると就職に有利ですか?」という相談を多く受ける。一方、多くの留学経験者は「留学はLife Changing Experienceだった」と語る。27年の留学アドバイジング歴、そして約500人の留学カウンセラーの組織を取りまとめる留学のプロとして、「単なる就活対策だけでない留学の魅力」「留学とキャリア(人生)」そして真の意味での「留学のROI(投資対効果)」について解説する。
(5)5月9日(木) Family - Friends - Belief - Life グローバルアストロラインズ 児玉 教仁
高校卒業後、英語の準備なしで留学した講師が留学を通じて得たものとは。留学で得られることは、(1)家族との新たな絆。凄い数の出会い中から出会えた伴侶等の「Family」(2)世界中に散らばる「世界を変えよう」と本気で信じて一緒に闘える「Friends」(3)見かけや人の意見にとらわれない自分の考え方や信念や夢といった自らの「Belief」、更に、自分を100%の力で生き、自分の力で人生を切り開き、コクピットに乗れる人生、自分の本当の「Life」である。
(6)5月16日(木) 転職アドバイザーが見るグローバルキャリアオプションの変化と現状 キープレイヤーズ 高野秀敏
1000人以上の経営者、7000人以上のビジネスパーソンとのキャリア相談を受けた転職アドバイザーによる「今本当に欲しい人材」について。どのような人材になれば、引く手数多な人材になるのか。現状そして、これからのキャリアの選択肢について、具体的な事例をまじえて考察する。
(7)5月23日(木) 「跨ぐ」キャリアとリーダーシップ 日本銀行/NPO法人MPI 山崎貴弘
本業では公的部門と民間部門の双方を経験すると同時に、人材育成や政策提言を行うNPO活動を発展させてきた講師の経験を踏まえ、①セクターを跨ぐ複線型キャリアのススメと、②そうしたキャリアを歩むうえで求められるリーダーシップについて議論する。また、留学経験も踏まえ、マイノリティになる経験から「跨ぐ力」について多くを学べることを紹介する。
(8)5月30日(木) グローバルマーケティング戦略とは NPO法人 MBAnoWA! 代表理事 筒井鉄平
高校、大学、社会人と3度の留学経験を披露するとともに、Publicセクター(国連)からPrivateセクター(三菱商事)へのキャリア方針転換をした経緯、MBA留学に至るまでに経験や留学で得たものを伝える。また、現在、取り組んでいる震災復興のためのNPOの活動などを紹介しながら、現代社会で求められるリーダーシップのあり方について議論する。
(9)6月6日(木) 世界に通じる価値を創出できる人材とは 〜大切なのは「良い準備」〜 株式会社ウィル・シード 長澤誠
企業のグローバル人材育成支援事業にたずさわる講師の経験をふまえ、日本企業における人材のグローバル化対応の現状について説明を行う。また、日本の企業人の「非グローバル性」、ビジネスにとっての「真のOS」とは何かについて語る。その問いへの考えを提示し、大学生の時にやっておくべき「企業人に向けての良い準備」について議論を行なう。
(10)6月13日(木) 国際NGOで働く:グローバルなキャリアステップ Human Rights Watch 吉岡利代
「日本から世界を変えたい」との目標のもと、外資系金融から国連を経て国際NGOにたどり着いた背景には何があったのか?そして国際NGOにおいて日本人として働く現状とは?国境を越えた将来の夢に近づくために、どんなキャリアステップを積めばいいのか、を共に考える。
(11)6月20日(木) グローバルリーダーに求められる資質 ラッセル・レイノルズ 三好加奈子
企業の幹部人材の外部採用及びアセスメントプロジェクト等、ヘッドハンターの業務内容を紹介しながら、次世代の企業のリーダー像がどうあるべきか、を論ずる。グローバルに活躍する経営者がどのような特性をもち、どのような経験を積んでいるのかを実例を交えて展開することにより、グローバル・リーダーの資質を検証する。
(12)6月27日(木) 金融業界のグローバル人事育成戦略 三菱東京UFJ銀行 西川敦
国際金融機関において外国籍人材採用の責任者である講師が、グローバル人材のリクルーティングの実情を紹介する。グローバル人材の発掘、人材育成の最前線でいま何が起こっているか、を学ぶ。
(13)7月4日(木) 「思い立ったら、すぐ行動する」精神で夢の実現をめざす べイン・アンド・カンパニー 間瀬陽子
多くの先輩の助言を得ながら人生のターンを切ってきた自身の経歴を紹介し、「思い立ったら、すぐ行動する」という基本的なスタンスについて語る。MBA留学を経て戦略的コンサルティングの業務を遂行してきた経験から、常に柔軟な視点を持って夢を追い続けることの大切さについて論じる。
(14)7月11日(木) 自分の強みと弱みを考える(自己のポートフォリオを構築する) アゴス・ジャパン代表 横山匡
東洋大学国際地域学部 教授 芦沢真五
本講座の課題でもあるポートフォリオに関して、その役割について論じる。自己の強みや弱みを自覚し、キャリア形成を図るうえで、ポートフォリオがどのような効果をもたらすか、を実例を交えて紹介する。また、すでに提出されたポートフォリオに関して中間的な評価をおこなう。
(15)7月18日(木) まとめ 政治経済学部 武田、国際連携 関山、天木
東洋大学国際地域学部 教授 芦沢真五
本講座の最終総括をしながら、今後グローバル人材として活躍していくための目標設定を行う。また、キャリアの選択肢を広げるうえで大学院留学が持つ意味についても論じる。
履修上の注意点
本講座の趣旨は、自己のキャリア形成を将来にわたって真剣に考える機会を提供することにあります。定期試験は実施せず、授業の平常点と提出物を評価対象としていますが、講座の趣旨を十分理解して真剣に取り組んでください。
教科書・参考書
特に定めない。(オンライン上で事前に資料を検索・分析することを課すことがある。)
成績評価の方法
レポート、平常点による総合評価をおこなう。
1)レポートおよび課題(ポートフォリオ)提出 (50%)
2)平常点(授業における貢献度を含む)(50%)
なお、本講座では、留学やキャリアにかかわるセミナーなどへの参加を奨励するが、本講座が指定するセミナーへの参加は出席点に加算される。なお、授業への貢献度とは、授業の中で自主的に課題を発表したり、積極的に発言をすることを評価するものであり、とくに授業における貢献が高いものには出席評価に加算して評定をおこなう。レポートおよび課題の提出にあたっては、他人のレポートやオンライン上の情報をそのままコピーして提出することがないように注意を促したい。違反行為に対しては厳格な処分をおこなう。
その他
本講座における中心的課題の一つに、自らのポートフォリオ(自己の能力や資質を分析した記録)を作成することがある。自分自身の経験や学習履歴を分析し、キャリア形成のために自分の強みと今後の課題をしっかりと認識するために、ポートフォリオを役立ててもらいたい。