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科学研究費補助金特定領域研究
「法使用行動の研究:法専門職のリーガル・サービスと法使用」
(領域代表村山眞維、領域名「法化社会における紛争処理と民事司法」)
1.研究組織
構成メンバー:B02グループ代表 和田仁孝(早稲田大学)
早稲田大学班
福岡大学班
大阪大学班
「法使用パターンの抽出とその相互影響関係の分析」
研究代表者 和田仁孝(早稲田大学)
「市民の法使用の実態−弁護士使用」
研究代表者 武士俣敦(福岡大学)
「市民の法使用の実態−司法書士の使用」
研究代表者 仁木恒夫(大阪大学)
2.主な研究活動
平成15年度には市民による弁護士使用の実態に関する全国調査の構想を立案することが基本目標であった。そのために調査項目の検討と調査票の作成準備に着手したが、その前提として内外の先行研究や文献を綿密に精査し、理論的枠組み、方法論、仮説構成、および調査実施計画の検討作業もおこなった。これらの作業は、弁護士の使用に関する調査をおこなう福岡大学班、司法書士の使用に関する調査をおこなう久留米大学(現大阪大)班、さらに行政機関や各種ADRの使用を取り扱うB01グループとの連携のもとおこなわれた。
平成15年9月から10月にかけて大量サンプルを扱うB01グループとの共通枠組みによる弁護士使用調査の第一次予備調査のデザインの検討をおこなった。並行しつつ、11月には福岡と東京において若干名の弁護士利用者を対象にインテンシブなインタビューをおこなった。これにより、市民の側から見た弁護士利用上の問題点を探り、必要な調査項目の明確化を試みた。また、この段階で弁護士利用の非常に広範な多様性が明らかとなった。
以上を踏まえて、B01グループの法機関利用調査に含まれるサブ調査という形式で本研究を推進することを基軸としつつ、そこでの調査項目の精錬を目的として、補足的に独立した予備調査を実施することとした。平成16年1月には弁護士利用に関する調査票の作成に着手し、2月半ばに完成、それを用いて2月下旬から3月にかけて予備的な調査を実施した。
この調査では、調査地を東京に限定し、法律事務所を通じて弁護士利用者にアクセスする形での調査を試みた。具体的には、弁護士会名簿からランダムに100名の弁護士を抽出し、これらにたいし最近終了したクライアントの事件(相談を含む)について、弁護士事務所より質問票を当該利用者に郵送してもらうように依頼し、それを受け取った弁護士利用者より直接返信してもらうという方法である。その際、100名の弁護士中、50名には郵送で、残りの50名には留置きでおこない、回収効果の差異を探ることとした。
こうして、平成15年度は文献等による理論的検討と小規模の探索的な予備的実態調査の実施で終わった。
平成16年度は、前年度実施の調査結果の検討からスタートした。B02調査票の検証と本調査へ向けての修正を経て、東京および大阪において、弁護士利用者予備調査、司法書士利用者予備調査を実施した。その過程で、理論仮説の構成に関しては内外の先行研究を渉猟し、当事者の属性や資源、当事者の目的、弁護士のタイプや属性、事件の特性、など主要な理論的変数を同定することができた。また、我が国独自の職能である司法書士調査については、弁護士利用調査に準拠しつつ、必要な修正を加える方向で理論的変数を検討した。
平成17年度以降、これら理論的検討の結果、および予備調査の成果を踏まえて、それをB01グループとの共同質問紙調査に反映させ実施していく作業に取り組んでいるところである。
【研究成果の公表】
[著書・論文]
和田仁孝・佐藤彰一編『弁護士活動を問い直す』(商事法務・2004)に下記の諸論文公表
仁木恒夫「単純事務作業の創造性-法律事務員の主要業務についての試論-」
武士俣敦「法律事務独占への視座-アメリカにおける非弁問題からの示唆-」
武士俣敦「専門弁護士認定制度の認定分野と認定基準について」
和田仁孝「弁護士役割の構造と転換-中立性と党派性の意義転換のなかで-」
和田仁孝「弁護士業務の変容とクォリティ・コントロール-ユーザーの選択による質の確保へ向けて」
和田仁孝「司法改革の理念と法曹養成教育の転換」
[シンポジウム報告]
和田仁孝「関係的資源としての弁護士」日韓法社会学シンポジウム 於京都大学(2004.10.2.)
【B02班活動経過】
[2003年]
10月16日
神戸大学(B01グループと合同)
9月10日
九州大学
10月30日
関西学院大学大阪梅田キャンパス
9月20日
大阪コスモスクエア国際交流センター(B01
グループと合同)
12月19日
福岡大学
9月30日
九州大学
[2005年]
11月9日
九州大学(法専門職利用者インタビュー)
1月11日
早稲田大学
11月11日
法政大学(法専門職利用者インタビュー)
2月10日
中央調査社大阪支社会議室(B01グループと合同)
12月16日
九州大学
2月20日
専修大学
[2004年]
3月18日
早稲田大学
1月15日
九州大学
6月5日
東京大学(B01グループと合同)
2月3日
九州大学
7月30日
早稲田大学
6月25日
福岡大学
8月9日
福岡大学
8月12日
福岡大学
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