周知のように,日本のプロ野球はそのビジネス改革によって観客動員数を大きく伸ばしてきた。スタジアムにも,多くの女性や家族連れの姿が見られるようになった。しかし,同様のビジネス改革によって市場規模を6倍にまで伸ばしたアメリカのメジャーリーグとは対照的に,日本プロ野球の市場規模は微増にとどまっている。
さらに深刻なことには,日本の野球人口は右肩下がりに減少し続けている。こうした現状のなかで,日本の野球界では,子どもたちの野球離れが深刻な問題として議論され,例えば高野連の「高校野球200年構想」に見られるように,その抜本的な改革が目指されている。
本シンポジウムでは,日本野球の未来を考えるべく,本学野球部の卒業生であり,中日ドラゴンズとアトランタ・ブレーブスで活躍した川上憲伸氏と,日本プロ野球の改革論を主張されているスポーツ・ジャーナリストの二宮清純氏をお招きして,日米の比較から日本野球の未来像について展望したい。
明治大学商学部卒業。筑波大学大学院修了。明治大学在学中には体育会硬式野球部の選手(三塁手)として活躍し,ベストナインにも選ばれた。2004年からは同部の監督をつとめた。