少子高齢化ということが言われだしてだいぶ経ちますが、人口がだんだん減っていくことは間違いない。若い人が増えないわけですから、若い人を相手にする大学のようなところは、大変困難な時代を迎えることは言うまでもないことです。
大学改革により、例えば国立大学が独立法人化し、国立・公立・民間を問わず同じような立場でお互いに競争し合うという時代を迎えているわけです。このような大学間競争の中で、競争するということよりも大学の生き残りをどう図っていくかということのほうが、大きいのではないかと思います。「象牙の塔」という言葉がありましたように、大学は伝統的な古いしきたりの中に誇りをもって立てこもって守っていると、こういう体質があったのではないか。それが、時代がだんだん変わり、今、問われていると思うのです。
その点、明治大学は、ある程度自由に開放されていましたから、時代を乗り切るだけの背景と要素はあるのではないかと思いますが、グローバル化して、単に日本のだけというだけでなく、国際的に共通し得るような普遍的な基盤をしっかりつくっていかなくてはなりません。大学の存立は難しい時代を迎えています。これから明治大学が、120年の伝統を踏まえてさらに輝かしい歴史をいかに刻んでいくかは、大変大きな課題だと思います。
そのためには、大学の経営が安定するということが第一です。理事会には大変ご苦労いただくと思います。さらに大学が学術、体育、文化、芸術、全ての分野で内容のある大学としての誇りが持てるというものでなければなりません。したがって、教授陣の皆さんのこれからの責任は大変大きなものがあろうかと思うのです。
同時に、校友会館をつくるという話がいよいよ具体化しつつありますけれども、それだけ大学側の校友会に対する期待が大きいわけです。理事会と教授陣、それから校友会、父母会、これらが四位一体となり、お互いの分野を守り合いながら協力し合い、大学全体を盛り上げていく態勢がつくれるかどうかということがこれからの大きな課題ではないかと思っております。
全国の校友の皆さんが後輩に向かって、本当に誇りうる大学だということを学生諸君も自覚をして頑張っていただけるような、そういう雰囲気をつくっていくということが、極めて大事なことだと思います。子供は親の背中を見て育つと言いますが、学生は先輩の背中を見て育つと言っても過言ではないと思いますので、それだけ校友の責任も重いと思う次第です。
校友会の活動もさらに活発になり、名実共に明治大学の誇り得る校友会になりますように、皆さんの一層のご尽力とご活躍を心からご期待とご祈念申し上げます。 |