文学部ルネッサンスの第一歩 |
文学部長 吉村武彦 |
今年は、文学部にとって大きな節目の年です。2002年度の心理社会学科の設置に続き、本年4月に文学科文芸メディア専攻が発足しました。長年続いた二部の廃止とともに、臨時学生定員増(いわゆる臨定)の問題に端を発した学部改革が、最終段階を迎えたからです。
幸いにも全学の支援と文学部教職員の総意で順調に動き出しています。今後は、学部に続く文学研究科における新専攻等の設置へと問題を移すことになります。文学部としては、全力を尽くしていかなければなりません。
さて、時代の変化が激しい今日、あらためて「人間とは何か」の探求が強く求められています。言葉を換えますと、現代に生きる人間の価値と本質を学問対象とする新しい人文学の構築が要請されています。また、「危機が唱えられ」「改革が求められる」時代には、何よりも「学問の原則」に立ち戻って、時代を切り開き、将来を展望していかなければなりません。
こうした作業は人文学の脱構築であり、いわば文学部の再生の問題です。人間、心・社会、歴史というリアルな現場性をもつジャンルから、新たな問題群の解決と学問・思想・文化の新展開が求められています。文学部における、文学科―心理社会学科―史学地理学科という3分野にわたる人文学の活性化が、21世紀の明治大学と社会に必要なのではないでしょうか。ところが、この3学科制は、学科の学生定員においてアンバランスな問題が残されています。学科制に、新しい尺度が求められています。
「教育は百年の大計」であり、拙速はあくまで避けなければなりません。しかし、時代を学問の原則から解明していく姿勢がなければ、現場性をもつ学問から離れ、研究がスコラ化し、教育も退廃します。文学部の新しい出番として、文学部ルネッサンスの第一歩を踏み出していきたいと考えています。小生自身は浅学非才の身ですので、皆さまのご協力を心からお願いします。 |
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