「明治大学広報」
 
第547号(2004年11月1日発行)
◆黒耀石サミット 国際研究集会を開催
 中部高地黒耀石原産地地帯の一角を占める長野県小県郡長門町鷹山地区に、明治大学黒耀石研究センターがある。町の協力をえて完成をみた、2000年度文部科学省学術フロンティア推進事業「石器時代における黒耀石採掘鉱山の研究」の研究拠点である。

 黒耀石とはガラス質の火山岩で、国内ではここ本州の中央部それに北海道と九州に主な原産地がある。そうした原産地から運び出されて黒耀石は、旧石器時代から縄文時代におよぶ石器時代の約3万年間、石器の石材として日本列島の全域で多用された。そればかりか、海を越えてシベリアや朝鮮半島にも運ばれていた。

 したがって、日本列島産の黒耀石が搬出された経緯と経路をたどれば、日本の石器時代人類史を広く東アジア全体のなかで見据えることができる。そうした観点にたって、明治大学黒耀石研究センターが推し進めてきた「黒耀石考古学」の成果を問い、今後の方向を展望する目的で、第1回の黒耀石サミット国際研究集会(OSIW)が開かれた。

 OSIWは、9月2日から6日にわたり、東京を会場とする立教大学主催のセッションと、鷹山地区に場所を移しての長門町および明治大学が主催した2つのセッションの、全3部で構成された。世界各地から集まった研究者を交えて、黒耀石研究の理化学的な手法、産地の保存と活用、黒耀石考古学による東アジア石器時代人類史の再構成など、かつてない総合的な研究発表と討議が重ねられた。

 そのOSIWの開催中、かねてより明治大学黒耀石研究センターと隣り合う場所に建設中であった、長門町立の「星くずの里たかやま黒耀石体験ミュージアム」が開館した。開館の式典には、長吉泉理事長、納谷廣美総長兼学長、森宮康教務担当理事をはじめとする明治大学の関係者が多数参列し、長門町と明治大学間の協力関係が深められた。

(安蒜政雄・文学部教授)
 
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