◆経済産業研究所から
グローバル・ビジネス研究科が無形資産評価プロジェクトを受託 |
2004年4月開設の明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科(ビジネススクール、以下MBSと略)の刈屋武昭・研究科長、山口不二夫教授を中心にしたMBS・商学部教員9名のチームが、7月に経済産業省の外郭組織である経済産業研究所から、無形資産の評価手法、開示方法に関する研究プロジェクトを受託した。このプロジェクトの成果は、企業の無形資産の情報開示問題に関して、経済産業省のOECD諸国との国家間共同プロジェクトの基礎研究となる予定である。
研究課題の重要性と背景としては、グローバル化、自由化、技術革新の進展などを背景に知識経済への移行がいっそう進展し、提携・合併も活用した企業の競争も激化する中で、企業の価値創造力と無形資産・知的資本の関係を理解することが、ますます重要になっているという事実が指摘される。実際、企業の価値は、伝統的な貸借対照表の財務的な資産からでなく、人的資産やブランドなど「企業独自の固有資産として保有する無形資産(知的資本とも言う)」から発生している部分が大きくなっている。先進国では、最近無形資産としてのソフト開発や研究開発への投資が、従来型の設備投資を上回りはじめている。
OECDを中心としたEU諸国では、90年代末以降企業の価値創造機能における無形資産の重要性を認識し、その研究調査成果を公表して知識・理解を共有化している。デンマークでは、企業情報開示法(2000)により、すでに無形資産についての情報開示を推奨している。日本においても、先進的研究水準で負けない提案をしていく必要があるという状況にある。この点については、2004年度の通商白書が包括的な視点を与えている。
本プロジェクトでは、経済産業研究所の名前で外部講師による無形資産研究会や内部研究会を行い、無形資産評価手法・開示手法について、俯瞰的調査を行うとともに、世界的先端水準としての理論研究を行うことを目的としている。本研究活動を通じ、MBSのブランド向上だけでなく、日本企業の価値創造にも貢献できることを求めていくつもりである。
(刈屋武昭・グローバル・ビジネス研究科長) |
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