一、2008年4月から新天地・調布キャンパスで付属中・高校の授業がはじまる。駿河台から調布市富士見町への移転である。「霊峰不二を仰ぎつつ 刻苦研鑽」の地としては快適な自然環境である。将来、明大の中核となる生徒の輩出に応える教育施設(新校舎等)の設計が着々と進んでいる。付属校教職員は、充実した教育施設の竣工に期待しながら、調布移転後を見据えた教育の質の充実を期した中・長期計画を策定し、その具体化をはかる努力をしている。成長期の生徒に向けた教育の質の充実は、一刻たりとも手抜きをすることは許されないのである。
二、本付属校は、創立93年の伝統に培われた教育を基礎に、「人を尊重し、礼を重んずる」校風がある。これは本付属校生徒の身嗜(みだしな)みとしてまず確認したい。このもとで、第1に、付属校は知育、体育、感性のバランスのとれた基礎教育の充実に努めている。本付属校の基礎教育は、将来の大学教育を見据え、正課教育はもとより課外教育を通して広い視野に立った人材の育成にある。とりわけ、高校では基礎学力をより充実させる中で重視しているのは、国際化、情報化に応える語学教育、外国文化の吸収、情報リテラシー教育の充実である。その成果があがる日もそう遠くはない。第2に、高・大連携学習の充実である。本付属校は他の付属校にみられないほどの多様な高・大連携学習(大学単位認定制度、大学教員による自主選択講座、学部公開授業など)を展開している。
三、調布キャンパスの移転で変わるのは、男女共学化への移行である。男女共学化への移行は、本校の校訓である「質実剛健」の校訓と結びつかないのではないかとの問い合わせもある。確かに、校訓である「質実剛健」は、男子校で用いられてきた慣用語であるが、現代流に解せば、「素朴さ、優しさ、強さ」の育成である。男女共学となる本校にふさわしいものとして確認したい。1929年に日本でいち早く職業婦人の養成を目指し創設された女子部の伝統とその精神は、本校付属校の女子教育に受け継がれることを教育方針として、その準備に入っている。
本校生徒は、明大生となることを自覚し、将来、国内・外社会で活躍することを志にしたエリート達である。教職員は、そうした生徒に、「よく学び、考え、何事にも恐れず挑戦し、前へ」といった言葉をキーワードとして檄をとばし、勇気と活力を与えていることを忘れていない。
私学の名門、日本屈指の付属中・高校となる日もそう遠くはない。
(法科大学院教授) |