「明治大学広報」
 
第565号(2005年11月15日発行)
◆レクイエムはジャズにのせて
 故岡本喜八氏に特別功労賞を贈呈
 明治大学は映画監督の故岡本喜八氏(2005年2月逝去、享年81、1943年専門部商科卒)に明治大学特別功労賞(同賞については本紙第562号に掲載)の贈呈を決定、10月25日に贈呈式と記念イベントを挙行した。当日会場のアカデミーホールにはおよそ700名が集い、故人を偲びつつ、その功績を称えた。
 贈呈式では、長吉泉理事長から岡本みね子夫人に賞状と記念のメダルが贈られた。プロデューサーとして岡本監督を公私ともに支え続けたみね子夫人は「こんなに素晴らしい賞をいただき、岡本も天国で照れくさそうにしていると思う」と涙。そして「いくら言葉を尽くしても岡本の気持ちを代弁できないので、挨拶に代えて」と、エッセイ『軍靴の響きと共に』を『大誘拐』ほか数々の岡本作品に出演した俳優・本田博太郎氏が朗読した。これは、雄弁部編纂の「明治大学 百年の顔」に岡本氏が自ら寄稿したもので、岡本氏が入学した1941年からはじまる戦時中、空襲と出征、死の影が色濃く押し寄せる中「死ぬまでに一本でも多くの作品を」と映画館に通いつめ、映画三昧に暮らした日々について綴られている。
 続いて文化庁文化部長で映画評論家の寺脇研氏が講演。さらに寺脇氏・本田氏に加え、漫画家の藤子不二雄タ氏、斎藤英治・明大法学部教授(映画評論家)によるシンポジウム(司会=土屋恵一郎明大法学部長)が開かれ、俳優、漫画家、映画評論家それぞれの視点から、岡本作品の魅力について熱く語った。シンポジウムには俳優の岸辺一徳氏・嶋田久作氏が駆けつける一幕も。
 また、『ジャズ大名』ほか岡本作品の映画音楽を多数手掛けた山下洋輔氏らによる記念演奏も行われ、岡本氏に捧げる「レクイエム」では会場のあちらこちらからすすり泣く声が聞かれたり、はたまた陽気なジャズのリズムに合わせ体を揺らすなど、会場はジャズの調べを楽しんだ。そして最後に86年の作品『ジャズ大名』が上映され、イベントは幕を閉じた。
 なお、今回の岡本氏への特別功労賞贈呈に合わせ、駿河台校舎リバティタワー内の岸本辰雄記念ホール、松井康成ホール、中央図書館ギャラリーでそれぞれ同氏の記念展示が行われ、映画のポスターや絵コンテ、撮影現場の写真など、貴重な資料が多数展示された。
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