「明治大学広報」
 
第569号(2006年3月1日発行)
2006年予算.編成方針決まる
 予算編成に当たって
 日本経済は、長かった低迷からようやく脱出し、明るさを取り戻しつつあるものの、大学を取り巻く環境は、国公立大学の独立法人化、認証評価機関による評価、大学全入時代へと激しく変動し続けています。

 このような変革の時代に備え、本学は、リバティタワー以来、アカデミーコモン、和泉メディア棟等のITを駆使した近代的なキャンパスを構築してきました。また、駿河台D地区建物を2006年度に、明治高等学校・中学校調布新校舎を2007年度に竣工させる予定です。

 教学面では、2006年度には、情報コミュニケーション学部が設立後3年目を、法科大学院、会計専門職大学院が完成年度を迎えます。また社会のニーズに応えるため、2007年度にユビキタスカレッジの開設、さらに2008年度以降に新学部・新大学院の設置について検討を進めているところです。

 本学は、「教育」「研究」および「社会貢献」を3本の柱に、「将来に夢を託せる大学」を目指して、教育改革支援本部の設置などさまざまな大学改革を進めています。

 経営面では、本学は現在のところ健全経営を維持しています。しかしながら、ここ数年支出超過傾向が続いており、現状のまま推移するならば、将来厳しい財政状態に向かうことが見込まれます。そこで、2006年度から、学費改定の増収により財政基盤の確立を図るとともに、事務機構の再編等を通して、職員人件費等の削減策などの財政改革を進めているところです。

 学校法人は、いうまでもなく教育研究を目的とする公共性の高い組織体です。したがってその経営においても健全性が強く求められています。そのためには、収支の均衡の取れた予算編成を行う必要があります。

 2006年度予算編成に当たっては、消費収支の均衡を維持し、健全財政の維持に努めます。物件費について「スクラップ&ビルド」の原則により、経費の削減を図ります。また、前年度に引き続き政策経費の概念を導入し、教育・研究活動の活性化および教育環境整備を図るとともに、「費用対効果」を基本に重点的な予算編成を行います。

 なお、明治高等学校・中学校調布新校舎建設に必要な建設資金の積み立てを前年度に引き続き行います。

予算編成上の内容
1.教育研究方針の実施計画

(1)ユビキタスカレッジの設置
 在学生への多様な学習機会の提供および社会人への本学の優れた教育研究プログラムの提供を目的として2007年度に「ユビキタスカレッジ」を開設する予定です。そのために必要な予算措置を図ります。

(2)新学部・新大学院の設置
 2008年度以降に設置を予定している国際系新学部、スポーツ系新学部等については、調査費等の必要な予算措置を図ります。

(3)大型研究プロジェクトへの対応
 大型研究プロジェクトについては、「ハイテク<CODE NUM=00A5>リサーチ・センター整備事業」2件、「学術フロンティア推進事業」4件、「オープン・リサーチ・センター整備事業」3件、計9件が、継続して稼動しています。
 2006年度には、新規に4件を申請する予定です。今後も研究分野の優先課題として取り組んでいきたいと考えます。

(4)教育・研究改革の支援・推進
 文部科学省が公募する現代・特色・海外・国際・教員養成・大学院関連等のGP採択を目指す諸活動を支援・推進するために、必要な予算措置を図ります。

(5)学習支援・キャリア教育支援センターへの対応
 多様化する入試制度の中で、スポーツAO入試による入学者等の基礎学力の不足している学生に対する学習支援が必要です。2006年度は、キャリア教育の全学的推進も含め必要な予算措置を図ります。

(6)情報関連経費
 「教育の情報化」の観点から、情報メディア環境を有効に活用し教育・学習効果を高めるために必要な予算措置を図ります。

(7)奨学金制度の充実
 奨学金規程に基づき必要な予算措置を図ります。

(8)体育会の強化
 本学の活性化および大学スポーツ振興のためにも体育会の活躍は有効です。強化対策のための予算を重点的に配付します。

(9)国家試験対策の強化
 本学が「外部評価に耐えうる大学」として存在し続けるためには、司法試験、公認会計士試験等の合格者を増加させる必要があります。そのための強化対策に必要な予算措置を図ります。

(10)社会連携事業の推進
 生涯教育の拠点としてのリバティ・アカデミー事業、社会連携促進知財本部整備事業、秋葉原サテライトキャンパスによる産学連携の促進等に必要な予算措置を図ります。

(11)広報関係の充実
 広報関連業務の充実強化に必要な予算措置を図ります。

(12)全学部統一入学試験について
 2007年度入試から全学部統一入学試験を地方会場でも実施します。そのために必要な予算措置を図ります。

2.施設整備計画
(1)主な施設整備計画
@駿河台D地区建物建設計画
A明治高等学校・中学校調布新校舎建設計画
B硬式野球部体育施設移転計画
C八幡山スポーツセンターの設置計画
D黒川農場整備計画

(2)その他の施設改良計画
 環境整備のための改良工事は、緊急性を考慮して予算措置を図ります。

3.人事計画
(1)教員人件費
 新規採用の教員者数については、採用計画に基づき、必要な予算措置を図ります。
 なお、2006年度から加入予定の雇用保険料を見込んでいます。

(2)職員人件費の見直し
 新規採用の職員者数は、2006年度については6名の新規採用を見込んでいます。

(3)待遇改善
 教職員の給与等の待遇については、社会状況を考慮して慎重に取り扱うものとします。定期昇給・昇格に必要な予算は計上しますが、待遇改善費に関する予算は計上しません。

4.財務計画
(1)帰属収入
 2006年度は学費の改定を行うとともに、学費以外の外部資金等の多様な財源確保を目指し、帰属収入の安定的な確保を目指します。
@学費収入
 予算定員については、学部新入生は1・15倍で、大学院・高等学校・中学校の新入数は入学定員で積算します。在学生数は、在学する現員を基に積算します。
 入学金および学部の教育充実費の増額改定等に伴い、学費収入全体では、前年度比では15億円ほどの増収が見込まれます。
A手数料収入
 入学試験料収入については、18歳人口の減少率を勘案して算定します。
 なお、2006年度に新たに実施する全学部統一入学試験の受験料収入を見込んでいます。
B資産売却差額
 硬式野球部移転計画に伴い、不動産売却差額を計上します。

(2)借入金計画
 本学の借入金は、1988年度に日本私学振興・共済事業団から校舎建設のため借り入れたもので、2007年度に完済の予定です。2006年度予算では、新規の借入金は計上せず、契約に基づく返済額を計上します。

(3)募金計画
 教育振興協力資金については、積極的な募金活動による増収を期待します。その他は、過去の実績に基づいて計上します。

(4)建設積立金
 明治高等学校・中学校調布新校舎建設のための建設積立金を前年度に引き続き設定します。

(5)消費支出
 消費支出については、引き続き効率的な財政運営を行い、長期的な収支均衡に資するために、物件費については計数管理を用いた予算規模を確定します。
@経常的な経費については、2005年度比10%マイナスシーリング等の実施により削減に努めます。
A政策経費については、重要性・緊急性を考慮して予算措置を図ります。

(6)基本金組入計画
@第1号基本金
 2006年度に支出する土地、建物、構築物、機器備品、図書などの固定資産は取得後に組み入れます。組入対象資産の主なものに、硬式野球部体育施設、明治高等学校・中学校調布新校舎、駿河台D地区建物があります。
A第2号基本金
 明治高等学校・中学校調布新校舎の建設資金を第2号基本金として設定します。
B第3号基本金
 新たな第3号基本金は設定しません。岸本辰雄記念奨学基金の積み立ては予定しています。
C第4号基本金
 学校法人会計基準に基づき所定額を積み立てます。

5.その他
 財務システムなどの法人システムの再構築については、年次計画に基づき必要な予算措置を図ります。
以 上
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