「明治大学広報」
 
第569号(2006年3月1日発行)
明大をあとに
    素晴らしき『共同体意識』       圭室 文雄
 明治大学商学部に就職し、和泉研究室に勤務することになったのは、1966年4月のことで、31才の時でした。思えばかなり長い期間になります。この間大学の組織やカリキュラム、建物などもかなり変わりました。一方で学生気質も大幅に変化しました。

 しかし変わらないものもあります。それは明治大学が持つ伝統的な「共同体意識」です。私は日本宗教史の研究をテーマにしておりますので、毎年休暇の時期は、全国各地の寺院や神社に大学院生や学生をつれて古文書の調査に出かけました。その折、その地域のテレビや新聞が調査の様子を小さい記事ながら取り上げてくれました。それを見た卒業生から宿舎に早速連絡が入り、その後宿舎を訪ねてくれ、学生達には差し入れの品が届けられ、その夜は卒業生と学生達との交流がはかられました。こうして、見ず知らずの人間同士が明治大学「共同体意識」により、少しの時間でその会話が盛り上がっていきます。私は毎年のようにこのような経験をしました。人生にとっては僅かばかりの時間を明治大学で過ごしたことが時間を越えて若い学生と共感し合える、そのことがとても素晴らしいことだと思います。

 さて、改めて振り返ってみますと、明治大学では多くの方々に本当にお世話になりました。厚くお礼を申し上げます。

 これからの大学の経営は曲がり角に来ているともいわれています。しかし120余年の歴史と伝統に支えられた明治大学はその評価も高く、必ずや苦難の道を切り開いて行くことと信じています。

 最後に明治大学のますますの発展を心より祈っています。

(商学部教授)
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