告辞の冒頭、納谷学長は「告辞としては異例であるが」と前置きした上で、この日卒業生のひとりとして列席した明坂一宏さん（文）について言及。明坂さんはラガーマンとして嘱望され入学するも、１９９９年に練習中の事故により頸椎を損傷、身体の自由を失った。一時は退学を考えたが、家族や友人らの人間愛に支えられ、そして故・北島監督の「前へ！」の言葉を胸に長い療養生活を乗り越え、卒業を果たした。
　
「彼は我々に対してどのような境遇にあっても生きることの大切さ、そしてその勇気を身をもって示してくれた。これこそ紫紺明治の魂。ここに明大の伝統的な強さと特性をしっかりと見ることができる。学長として心から拍手を贈りたい」と語ると、会場は大きな拍手に包まれた。

　卒業にあたり明坂君は「９９年に入学、６年間の大学生活はあっという間だった。自分だけの力で卒業したわけではなく、多くの人に支えられてこそ」と語り、今後については「進路は未定なので、早く就職したい」と意気込みを語っている。