宮城・岩手県津波被災地より運び出された歴史資料保全活動への参加

2017年07月05日
明治大学 震災復興支援センター

奥に立てかけられている襖から、襖紙に使われていた部分を剥がした状態奥に立てかけられている襖から、襖紙に使われていた部分を剥がした状態

襖紙の台紙部分から再利用のために張られていた古文書を1枚ずつ剥がしている様子襖紙の台紙部分から再利用のために張られていた古文書を1枚ずつ剥がしている様子

剥がされた古文書を、1枚ずつ分けて保管している様子剥がされた古文書を、1枚ずつ分けて保管している様子

 本学の大学院生が参加した、NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク主催の歴史資料保全活動について、寄稿がありましたのでご紹介いたします。
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 このたび筆者は、宮城県とその近隣地域を中心に、古文書をはじめとする記録史料の保全・修復活動および記録化作業を精力的にリードしてきた宮城歴史資料保全ネットワークの活動に参加させて頂く機会を得た。千年先まで史料情報を残すことを目標に活動する同組織は、その調査・記録方法を独自の「宮城方式」として確立させ、全国的に史料保全技術をリードする組織として学術的に貢献すると共に、震災により崩壊の危機に直面している、被災地地域の間に根付いてきたアイデンティティー=「地域の記憶」の維持にも貢献し、歴史資料を通じた地域住民の「心の復興」へと寄与する存在でもある。震災から時間を経て、ボランティア活動が多様化している現在、こうした、一見して即時役に立つとは感じ難い活動の価値が問い直されるべき時期に差し掛かっていると、筆者は感じており、前年度以来の同活動への参加を志願するに至った。
 
 今回は2017年4月26日(水)、同組織の拠点である東北大学災害科学国際研究所(仙台市)において、気仙郡(岩手県南部)および牡鹿郡(宮城県北部)から運び込まれた史料を対象とし、筆者は主に、現用時期を過ぎた明治期の行政文書が廃棄されずに旧家で障子紙として再利用され、そのお宅が津波被害を被った後、史料的価値のあるものとして救済の手が及んだ史料に触れることとなった。美術史専門家の指導にならい、現代でいう「裏紙」として長く再利用されていた文書を土台からはがしたり、形状のメモをとり撮影する作業に取り組むうち、馬産地である同地らしい馬産や仔馬の登録書類が登場し、地域の重要産業として馬が扱われていたこの地域の様子が浮かび上がり、岩手・宮城両県で伝統行事・産業として受け継がれてきた馬にまつわる事象に、一般に「被災地」の一言で括られる同地が貢献してきたという地域像を発見した。もちろん当日手ほどき下さった先生方と、活動に迎え入れて下さった地元のボランティアの皆様のサポートを得てのことで、このチームで取り組んだ活動と発見に、筆者が体よく入り込んだ形—というのが実態である。
 
 今回は上記のとおり、復興現場に直接赴いての活動は行っていない。しかし史料保全活動は、定期的にボランティアのマンパワーを加えることで、上述の発見のような効果を発揮することがある。筆者は前年度以前と同様、宮城・福島両県を中心に、継続して活動に参加させて頂くことで、マンパワーの一員になっていきたいとの思いを新たにした。それは、地震大国という宿命を背負う日本列島に住む者として、未来の防災・減災のヒントを模索する過程のひとつともなるのではないか—と、手前味噌ながら考えている。
大学院文学研究科史学専攻
博士後期課程3年 竹ヶ原 康佑
 

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