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【理工学部】2017年度複合領域科目「国際実習」タイプログラム実施報告

理工学部は201795日から914日まで複合領域専門科目「国際実習」タイプログラムを実施しました。本プログラムは同科目(修得単位数:1単位)の根幹をなす海外実習であり、その目的は、海外に出て異文化交流の経験を積むことで国際感覚にあふれ、多面的な思考力と広い視野を涵養することと、そこで働く技術者の生の声を参加学生が直接聞くことにより、キャリア形成の一助とすることです。2015年度の試行を経て、2016年度に引き続き2回目となる2017年度は、学部23年生26名(男子18名、女子8名)が参加し、本学アセアンセンターにおける講義とパネルディスカッション、シーナカリンウィロート大学Ongkharakキャンパス工学部訪問(建築学科の参加学生12名はチュラロンコン大学建築学部を訪問)、タイに展開する日系企業6社の会社・関連施設訪問、および、シーナカリンウィロート大学人文学部日本語学科の学生とのグループ交流活動を実施しました。なお、建築学科の参加学生についての活動は、文部科学省・平成28年度「大学の世界展開力強化事業~アジア諸国等との大学間交流の枠組み強化~」 のタイプBにて本学が採択された「CLMVの持続可能な都市社会を支える共創的教育システムの創造」の事業構想に基づく派遣プログラムの一つとして実施しました。

初日は、バンコク・スワンナプーム国際空港に到着後、明治大学アセアンセンターに移動し、小沼アセアンセンター長より安全に関する講習を、また、Wilailuck Tangsirithongchai先生よりタイ語・タイの文化に関する講義を受講しました(写真1、2)

(写真1)

(写真2)

2日目以降、最終日の9日目までの間に、以下の企業訪問や工場・関連施設の見学等を実施しました。

  Mitsubishi Motors (Thailand) Co. Ltd.
同時期にタイで研修中の情報コミュニケーション学部と合流し、タイにおける自動車生産の変遷及び生産拠点
Laem Chabangにおけるサプライチェーンの発展に関する説明を受けた後、自動車の生産工程を見学しました。続く質疑応答において、駐在員(日本人)と現地採用スタッフ(タイ人)の協働に関する体験談から、タイに生産拠点を置き事業展開することの意義を学びました(写真3)。
 

(写真3)

  Techno-Metal (Thailand) Co. Ltd.
会社紹介の後、自動車部品等の鋳造工程を見学しました。融解した金属が鋳型に流される現場に圧倒されると共に、現地採用となるタイ人労働者の働く姿とその技能を間近に見学させていただくことで、海外生産拠点における実際を理解する良い経験となりました。駐在員とのディスカッションにおいては語学力の重要性を説かれ、学生達は今後の語学学習への良い刺激を受けていたようです(写真4)。

(写真4)

  Crown Seal Public Co. Ltd.
東洋製罐の海外事業拠点の
1つで、社長、および、2名の日本人社員に案内していただき、英語による会社紹介の後、日本語による技術解説を受けながら様々な種類のフタの生産ラインを見学しました。その後、学生から生産技術、日本とタイでの社員の価値観の違い、現地の人々とのコミュニケーションのコツなど多岐にわたり質問され、社長や社員の方々から数多くの意見やアドバイスをいただきました(写真5)。

(写真5)

  Thai Meidensha Co. Ltd.
明電舎の海外グループ会社で、本学卒業生でもある横山氏
(MEIDEN ASIA PTE Ltd. Project Director) をはじめ、タイ人技術者を含めた5名に明治大学アセアンセンターにお越しいただき、企業概要・タイにおける事業展開について英語による説明を受けました。これらの内容や、海外で活躍するための心構えに関する英語・日本語を交えた学生からの様々な質問に対して、丁寧な回答・アドバイスをいただきました(写真6)。さらに、タイでは初となる日本の車輌が採用されたバンコクの都市鉄道路線「パープルライン」において、同社が担当した変電・配電システムの現地見学のためにTrain Depot of MRT Purple Line (Khlong Bang Phai) まで同行いただき、稼働中のシステムを見ながら説明をいただきました。また、パープルラインの鉄道運営権を所有するBangkok Expressway and Metro社の担当者から列車運行システムの説明を含め車両基地を案内いただきました(写真7)。

(写真6)

(写真7)

  Thai Takenaka International Ltd.
Silom complexのオフィスにて竹中工務店の会社紹介に引き続き、設計・施工業務の概要を説明いただきました。その後、5班に分かれて活発なグループディスカッションを行い、各班の代表者からディスカッション内容の報告が行われました。駐在員の方との膝を突き合わせた議論の機会を設けていただいたおかげで、学生達は建築分野の技術内容に関する疑問はもとより海外駐在員として心構え等を本音で聞き出すことができたようです(写真8)。また、Bangpakong地区Amata Nakorn 工業団地に位置するタイ竹中技術訓練場 TAKSAを訪問し、TAKSAの企画・運営担当者から施設内の教材を用いた研修を体験することで、タイ竹中の品質管理・安全教育に関する理解を深めました(写真9)。さらに、スワンナプーム国際空港近くのGemopolis工業団地に位置する建設現場(宝石工場)を現場周辺より視察する機会をいただくとともに、施工主・設計企業・施工企業の国籍がすべて異なるワールドワイドな活動が行われていることを実感することができました。

(写真8)

(写真9)

  Kang Yong Electric Public Co. Ltd.
副工場長から会社概要を説明いただいた後、駐在員の状況や主力冷蔵庫・扇風機の需要、他企業とのコスト競争、企画・設計段階でのタイ人社員の関わり方など長時間におよび活発な質疑応答が行われました(写真10)。その後、扇風機・換気扇・冷蔵庫の製造ライン、安全教育に関するトレーニングルーム、製品展示コーナー等を見学し、タイ現地法人と日本市場との関わりを理解することができました(写真11)。

(写真10)

(写真11)

3日目は、国際実習試行以来初の試みとして、シーナカリンウィロート大学人文学部日本語学科の学生21名との交流を通してタイの文化・歴史・個人の意識や考え方などを理解するイベントを実施しました。両学部の学生を6班に分けて、渡泰前からインターネットツールを通して史跡・寺院・食事スポットなどの訪問先・時間配分などを計画することで、両国の学生がより深い意思疎通を図ることを目的にしました。班によっては小さなトラブルや行き違いが生じたようですが、学生同士で直接意見交換することで、タイの人々の考え方や価値観等を深く理解することができたようです(写真12、13)。

(写真12)

(写真13)

4日目に建築学科の参加学生は、チュラロンコン大学建築学部を訪問し、約1ヵ月間短期留学し設計課題に取り組んだ本学建築学科4年生9名の成果発表会に参加しました。発表会の始めこそは場の雰囲気に圧倒され、静かに聴講するのみであったものの、発表が進むにつれディスカッションに参加するといった積極性が芽生えていきました。希望者は4年次にこの短期留学プログラムに参加することできることもあり、学生達を触発する良い刺激になったようです(写真14)。

それ以外の学科の参加学生は、シーナカリンウィロート大学Ongkharakキャンパスにある工学部を訪問しました。ここでは、副学部長の土木工学科Setta Sasananan先生による英語での挨拶の後、電気工学科Kampol Woradit先生や機械工学科Damrong Puldamrih先生に英語で案内していただきながら、コンピュータサイエンスの講義・金属加工の実習・ダイオードの電気特性の測定実験の様子、大学図書館、学食などが入る学生センターなどを見学しました。その後、シーナカリンウィロート大学工学部の教職員を交えて、タイ料理のランチをとりながら英語での交流を深めました(写真15)。

(写真14)

(写真15)

5日目は、アセアンセンターにて2件の講義とパネルディスカッションを実施しました。シーナカリンウィロート大学のProf. Ravipan Saleeponによる「Thai Economy」と題した講義では、英語によりタイの貧困とQuality of Life (QOL) に関する問題が鋭く指摘されました(写真16)。理工学部の学生に経済・公共政策に基づく話題を英語で理解することは難しいかと思われましたが、専門性の高い用語等については平易な表現で説明をいただきました。また、本学卒業生で日本企業の駐在員として活躍されている江川氏による「海外駐在で自分自身を磨く」と題した講義では、海外駐在員の仕事と心構えについて、海外で活躍することだけに留まらず、自己成長を成し遂げるための論理的な思考法の重要性を含めて熱く語っていただきました。学生達は、ものごとをやり遂げるためにモチベーションを維持することが大切であることを肌で感じていたようでした(写真17)。

(写真16)

(写真17)

さらに、小沼アセアンセンター長をオーガナイザとして、バンコクで活躍されているタイセコム(株)古賀氏(本学商学部 OB )、 JICA プロジェクト調整員の小熊氏を交えたパネルディスカッションでは、三者三様の視点から海外での『生き様』を語っていただきました。古賀氏からは『反骨心』を持って全てのことに当たる大切さ、小熊氏からは海外で働くことを目的とした人生のアプローチ、小沼先生からは国連 FAO アジア太平洋局長に至るまでの世界各地における人類共存のための活動が紹介され、学生達は時間が経つのも忘れて興味深く話に聞き入っていました(写真18、19)。

(写真18)

(写真19)

6日目に建築学科の参加学生は休日返上してバンコク市内の街歩きに出かけました。朝方に見学した生鮮市場では現地の活気を肌で感じていたようです。その後、バンコクにおけるクリエイターが集まる地域を歩き、バンコクの郵便局建物の一部を改修し、彼らの交流施設として設立されたThai Creative Design Centerを訪問しました。昼食後は博物館として開放されている近代邸宅や、西洋風のアーチ状の大屋根を持つバンコク中央駅舎といった建築物を見学した後、明治大学アセアンセンターに戻りワークショップを開催しました。ワークショップでは街歩きで各自が撮影した写真を紹介しあいましたが、各々が全く異なる対象に興味を持ち、同じルートを歩いても友人が異なる風景を見ていることに驚きがあったようです(写真20)。

それ以外の学科の参加学生は、タイ文化の象徴の一つである世界遺産のアユタヤ周辺の寺院・文化施設を訪問し、タイ文化を肌で感じることができました(写真21)

(写真20)

(写真21)

今回の国際実習により、参加学生はタイの文化に直に触れると同時に、海外で働くための考え方・心構えを理解することができました。本プログラムの企画や種々のアドバイスにご尽力いただいたアセアンセンター小沼センター長をはじめアセアンセンタースタッフ、また、プログラムを受け入れて頂きました皆様方に感謝いたします。

理工学部