全国農業協同組合中央会(JA全中)広報課長 元広 菜穂子

大学で得た学びと絆を生かして、
日本の食と農業の大切さを伝えていきたい

全国農業協同組合中央会(JA全中)の広報課で、初の女性課長として活躍する元広菜穂子さん。生活課、農政課などで経験を積み、さまざまな角度から日本の農業や地域を支援するJA の広報担当となった元広さんに、仕事をする上で大切にしていることや、食や農業の現状と未来についてお話をうかがった。

父がつけてくれた“ 菜穂子” という名前

 野菜 ・ と稲穂 ・ から一文字ずつとって付けられた菜穂子という名前には、食に困らないようにという父の願いが込められているそうです。同時に、小さい頃から食の大切さや、農業がいかに大切かということを教えられて育ちました。そんな影響から、将来は農業に関連した仕事をしたいと思い、明治大学の農学部を選んだんです。

 実際にJAで働いていると、「あの頃もうちょっと勉強しておけばよかったな」と思うこともあります(笑)。でも、当時お世話になった先生とは今でもお付き合いさせていただいて、さまざまな情報交換ができているので、大学でいい繋がりをもてたと感謝しています。

人と人との絆の大切さ

 JA は男性社会のイメージがありますが、実はかなり柔らかい組織で、食や暮らしに直結していますから、女性の管理職も増えているんです。すごく働 きやすいですし。ただ、人間関係は大事にしなければいけないと思っています。どんなに優秀な人でも感じが悪いと信頼されませんし、何かのとき助けてもらうためには、やっぱり日頃から仲良くしていないと(笑)。人と人との絆は、何よりも大事にしたい。 それは社会人になってから特に感じましたね。

農業の未来を支える

 今年3月に起きた震災による影響やTPP(※) への参加議論など、いま日本の農業はさまざまな課題に直面しています。そこで私たちJAでは、国産の農畜産物や日本に農業があることの大切さについて、あらためて皆さんに考えていただきたいと思っています。安全・安心な食べ物のありがたみを再認識し、国産の、生産者の顔の見える食料を選んでほしい。そうすれば農家の方にも安心して農作物を作ってもらえると思うんです。
※TPP(環太平洋連携協定):物品の関税を原則すべて撤廃するほか、全24分野にも及ぶ自由化協定。

 都心にいると、農業について考えることはあまりないかもしれませんが、農業は、食物を作る以外にもいろいろな役割を担っているんです。たとえば田んぼは、洪水や土砂災害を防いだり、夏の暑い日に熱を吸収して周囲の温度を2〜3度下げているといわれています。それに、いろんな生き物が棲めるきれいな環境も作っています。

 農業が私たちに与えてくれているはかり知れないほどの恩恵。そのことをたくさんの人に知ってもらい、日本の農業の未来を一人ひとりに支えてもらえるような、そんな広報活動をしていきたいと思っています。

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History of Nahoko Motohiro

卒業後、全国農業協同組合中央会(JA全中)入会。農政課などを経て、2006年から広報課長に就任。日本の農業の大切さや、それを支えるJA グループの活動などを広くPRしている。1967年生まれ。埼玉県出身。
明治大学広報
雑誌 明治
meijin Vol.1

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