明治大学 平成17年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム
広域連携支援プログラム-千代田区=首都圏ECM-
本プログラムは、文部科学省が公募する、平成17年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)に採択されました。」
現代GP採択関連講座
地域連携支援講座−地域経済比較−
[報告書]  PDFPDF版
開催日時:平成17 年11月17 日 参加人数:参加人数13人
講師:神奈川県箱根町長 山口 昇士 テーマ:ビジット・ジャパンキャンペーンと国際観光地箱根
ビジット・ジャパンキャンペーン
 日本から海外に行く旅行者が1652万人と大変多いのに対し、日本に来る観光客は524万人(2002年)です。観光業は、箱根の場合には就業人口の85%が従事していますが、携わる裾野が広く、雇用の吸収の力が強い。バブル後、経済の低迷の中で、国は、21世紀の観光が日本のリーディング産業になり得るとして、観光立国宣言をしました。2003年に観光立国行動計画を策定して、世界各国に日本をアピールしおり、特にアメリカ、東アジアを重点市場として売り込んでいこうとしています。2004年には、訪日観光客は614万人に増えました。国の計画では2010年には1000万人を目指しており、都道府県、市町村と様々に政策を練っています。箱根町もキャンペーンに乗り、国際観光都市づくりに取り組んでいます。
国際観光都市箱根の現状と課題
 私も毎年中国に観光プロモーションに行っていますけれども、今後の観光の国際化の中で、中国、韓国、台湾といったアジアの大市場を意識し、訪日客をつかむことが、訪日観光客1000万人という目標達成の為の大きなハードルなのかなと感じています。しかし、日本人 はアジアの人に冷たいという部分があったり、ビザの発給にしても審査が厳しすぎると言われており、その辺が解決されないとこの目標達成は難しいと思っています。 最近は、国内の旅行者による、バスを2,3台連ねるような大きな団体旅行は少なくなっており、団体旅行向けの宿泊施設は苦しい状況になってきています。箱根の場合は、近くに熱海という有名な観光地があり、情報交換したり、共同で観光キャンペーンをやったりしていますが、箱根はまだ少し宿泊料金が高く、東アジアの旅行者が熱海等に流れて行ってしまいます。地域の経済への貢献度を高くするためには、多くの観光客の方に宿泊していただくことが重要です。その為には、地域の持っている魅力を他の地域と差別化してお客さんに好印象を与えるかということ、また確かな箱根のブランドを発信していかないといけません。
 外客受け入れの課題としては、言葉の問題、カードでの対応、もてなしの心の醸成、どこの国の人が来てもウェルカムできるようにすることが、これからの箱根町に課せられた課題です。国としても、カード対応や、入国手続きをもう少し簡便にする等取り組んでいただきたい所があります。これはまだ検討中ですが、外客に限定した消費税免除措置の特区が出来ればとも考えています。旅行者が安心し、安全に旅ができるそんな環境を作っていかないといけないと思います。
国際観光都市箱根に向けての取り組み
 箱根に来ていただくお客さんは、1900万人を少し超えました。宿泊者は463万人ですが、入湯税として150円、日帰り入浴客は50円を頂いております。税収が7億円程になりますが17年間ほど日本一の税収になっており、ありがたく思っております。こちらは、お客さんを迎えるための消防や下水道、道路等の環境整備に使わせて頂いており、更に環境のいい、やさしさのあふれる観光地にしていこうと思っております。また、外国人受け入れ環境を整えるということで、言葉の面では、英語、中国語、ハングル語のスタッフを揃えたり、町のパンフレットは4カ国に対応させたり、町民には、英語、韓国語、中国語講座が行われたりしています。また、多言語による観光ホームページも開設しています。表示看板の多言語化を行い、標識は神奈川県下で統一したデザインの一目で分かるようなサインを作ろうと提案をしています。文化伝統にも磨きをかけて行きたいと思っております。
広域的な連携
  現在、小田原市と連携をしながら、大船止まりの成田エクスプレスの小田原への延伸をお願いしています。県には羽田空港の神奈川口を是非作って欲しいと要望しています。また、静岡、山梨、神奈川のsky交流圏ということで3県の市町村が集まって協議会を作り、富士山を共通の観光資源として連携して地域の活性化を図ろうとしています。私は共存、共栄というか、お互いがコンセプトをしっかりもった中で、いい所を活かしながらの広域観光が持論です。箱根だけが栄えればいいのではなく、いろんな地域で連携をしながら、お互いに広域的に優れた資源を融通しあい、お客さんのニーズに応える、そのような努力が大事だと思います。
箱根の特徴ある政策
  箱根は温泉のデパートと言われるほど多くの泉質の異なる温泉が湧き出し、現在17の温泉場がありますが、温泉文化を継承して行きたいということで、芸能組合、芸者さんに150万円の予算をつけています。200人の芸者さんがいますが、三味線や太鼓等の温泉文化を伝える為に育成に努めています。また、温泉の健康と結びついた多面的な利用も探っています。そして、箱根の財産はなんといっても自然です。箱根は国立公園の自然公園法に都市計画法の網をかぶせた珍しい町です。特別保護地域、第1種特別保護地域等用途指定外には緑の減税といって固定資産税を非課税にしていますが、それらが特色ある政策なのかなと思っています。
参加者との主な質問応答
Q: 現状として、箱根町の観光客は増えていますか?また、客単価はいかがですか?
A: バブルのピーク時(平成4年)の2200万人位来ていた時は特別として、ほぼ横ばいです。私は今2期目ですが、観光客2000万、宿泊客500万を4年間で達成したいと言っています。日本の総人口は去年から減り始めていますから、市場が小さくなる中で、海外の観光客にいつでもウェルカムという環境を作って行きたいと思います。
客単価は二極化し始めています。高級旅館、ホテルの利用客も勿論沢山いらっしゃいますが、一方で安いところは、チェーンで展開している所等、食事付で5000円程度で泊まれるところからあります。
Q: 西さがみ連邦共和国とはなんですか?
A: 小田原、箱根、湯河原、真鶴、は同じ経済圏であり、学区でもあります。行政だけが見えない線を引いて同じようなことをやるより、一緒に力をあわせてもっといいものができるのではないか、経費削減をできないかということで、平成14年に建国をしました。毎年行っている中国のプロモーションもその中の一つです。圏域として売り出して行こうということと、行政的には職員の共同研修、城下町小田原ツーデーマーチ等のイベントの共同開催も行っています。
Q: 街の政策として、財政出動でやること、規制でやること、ソフト面ではマンパワー、ボランティアでやること等ありますが、どのような所を重視されていきますか?
A: 総合計画の将来像は、彩り豊かな自然と文化の息づく交流の町箱根です。人口が減少していく中で、交流人口を考えた街づくり、地域活性化を進めています。これからはハードでなく、住民と観光客をどうソフトの部分でやっていくかです。リゾートマンションや、ハードの部分で観光客を呼ぶことは必要ないと思っています。箱根の自然環境がいい中、例えば国際会議等でのアフターコンベンション、分科会といった、大都市に近い観光地としての箱根町という、大都市とは役割分担できるあり方ということが大事だと思います。自然保護を貴重とした調和のある発展を望んでいます。


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