明治大学 平成17年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム広域連携支援プログラム-千代田区=首都圏ECM-本プログラムは、文部科学省が公募する、平成17年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)に採択されました。」
Proj.7 「学生による金銭教育」 〈まぐろ汁〉販売から、感謝の手紙へ 浦安小学校

 富野ゼミナールは、浦安市立浦安小学校において全5回の金銭教育授業を行いました。前2回では、〈まぐろ汁〉販売のため、モノを売るということについて学び、販売促進のための広告づくりを行いました。引き続き、小学生が販売を行うという計画のもと、当日の販売の流れ、仕事の割り振りや接客について学びました。本番の販売では、これまでに学んだことがいかんなく発揮されました。また、最終回の授業では、実際に働いてみてどうだったのか、ということを考え、普段自分たちのために働いてくれているお父さんお母さんに手紙を書きました。
 授業は、販売を通じて、働くことの大変さや楽しさに気づき、お父さんお母さんへの感謝とともに、将来働くことへのビジョン作り、という流れになりました。
 授業を終えて、小学生は「また遊びに来て欲しい」「ずっと一緒に授業をしたかった」と声をそろえ、よいコミュニケーションがとれたなか、金銭教育が完結しました。

「また遊びに来ます」
授業経過

■第3回 10月17日  『接客を学ぼう!』
 今回は、次回の販売体験に向けた接客の練習です。
まず、販売に、注文受付係・レジ係・受け渡し係などがあることを説明しました。ここで登場したのが、富野ゼミ生の手作りの接客マニュアル。マニュアルに沿って小学生達が一生懸命練習します。ポイントは3つ。一つ、接客は笑顔で。二つ、大きな声でははきはきと答えること。三つ、接客の時はすべて敬語を使うこと。
児童たちは、班ごとに分かれ、大学生のお手本を見せてもらった後で、「いらっしゃいませ!」、「お熱いのでお気をつけてください」、「ありがとうございました」と元気いっぱいに声をだしていました。

■第4回 10月21日  『おいしいよ!まぐろ汁!』
 今回は、いよいよ浦安市民祭りにブースを出店〈販売体験〉です。これまで、売れるためにどうしようかと一所懸命考えた〈まぐろ汁〉を売るのです。
 お祭りは2日間あり、じつは昨日、学生だけで販売をしてみるリハーサルを行っていました。大変苦労し、その結果「どうすれば売れるか」が分かりました。奥でやっていた鍋の調理を、お客さんに見えるところに移動するなど、工夫がなされました。
 目標は300杯売り上げること。果たしてどうでしょうか。
 小学生が到着すると、みんなハッピを着ています。これは〈よさこい踊り〉の発表会で使うために揃えたものです。ハッピ姿だと「お祭り」という感じがして、今回もばっちり活用されています。
 子どもたちは班に分かれて行動しました。カウンターでの作業(注文受付係・レジ係・盛りつけ係)、店頭での販売促進、看板を背負ってチラシを持っての出張宣伝、とローテーションで回っていきます。店頭のディスプレイと出張宣伝の看板は授業の時にみんなで描いたもの。飾り付けられてゆくと、だんだんとにぎやかになります。そこへ、いちばんの目玉の〈まぐおくん〉も登場!これで、お客さんはまぐろ汁にとても興味がわくことでしょう。
 お客さんがだんだんと集まり始め、子どもたちはよりお客さんに来てもらうためにノドを枯らします。「まぐろ汁ー!おいしいですよー!食べてみてくださいー!」。なかには、替え歌を歌って興味をひく子どもも。また、学生が子どもを肩車する姿も登場し、お客さんは大行列に。次々とまぐろ汁をお買い上げ下さいます。
午後3時前に販売終了。一体何杯売れたのでしょうか。それは、次回のまとめの授業に譲り、学生が子どもたちに問いかけます。
「何杯売れたと思う?」
「利益は?いくらもうかった?」
「たとえば1万円だったとして、学年全体であれだけの人数で売って、がんばったのに1万円だよ。どう思う?」
使うときはあっという間のお金を稼ぐことがいかに大変か、子どもたちに教えていました。
「みなさん、きょうはいい経験をさせてもらいましたね。明治大学の学生さんたちにお礼を言いましょう」
「有難うございました!」
と声がそろったところで、充実した販売体験が終了しました。

■第5回 10月26日  『働くって、大切だって分かった!』
 浦安小での金銭教育も、本日で最終回。きょうは〈まとめ〉の授業です。
 まずは、楽しみの売り上げの発表。結果、700杯売れました!
 しかし、かけた時間と人数で割っていくと…小学生1人あたり300円でした。
「あれだけ、みんなが4時間がんばって、ひとり300円っていうのはどうですか?」
「300円でゴハン食べれますか?みんながおなかが空かないように、お父さんお母さんはみんなのために働いてくれています」。
ここで、紙に感想を書かせます。子どもたちの声は、
「働くってことが、大切だって分かった」
「チラシを配って戻ったら、行列ができててうれしかった」
「行列ができたとき販売体験をして良かったと思った」
など、意義深さを感じたよう。そしてなにより、
「お父さんお母さん、毎日働いてくれて有難う」。
それがわかったところで、みんなでお手紙を書くことになりました。
「お仕事がんばってね」
「お母さんは家事もやっているのに楽しそうでエライです」
「仕事で疲れているのに遊んでくれて有難う」
「お手伝いすることがあったら遠慮なく言ってください」。
こんなお手紙もありました。
「仕事のときは楽しいこともあるんだなぁ」。
そして、みんなががんばってできた利益をお菓子とジュースにして分けました。みんなお菓子に大興奮。友だちと交換したりして、楽しく美味しく食べました。なかには学生にお菓子をあげる子も。お世話になったと肌で感じたのでしょうか。
最後に、子どもたちに学生が一言ずつ声をかけました。
「何か一つでもいいから、忘れないで持って帰ってください」
「こういう勉強に興味を持ったら、ぜひ明治大学へ」
「有難うという気持ちを忘れずにお手伝いをしてください」
「いっぱい話しかけてくれてありがとう」。
子どもたちからは、
「働くことを教えてくれてありがとう、仕事の大切さが分かりました。おもちゃとかにお金を使ってたけど、販売体験を通じて反省できました」
と代表の子どもが述べました。
こうして、富野ゼミの金銭教育は完結しました。

販売の流れ
「これが〈まぐおくん〉かぁ」
盛り付けもだんだん上手く
「まぐろ汁いかがですかぁー!」
お父さん、お母さんにお手紙を!
あ、このお菓子好き!

販売体験での現場インタビューより

■インタビュー1 (富野ゼミ3年 桑田智大)
  小学生のパワーはすごいですね!昨日は正直苦戦したんですが、今日は子どもたちの力ですごく売れてます。小学生のがんばってる姿が感動しました。歌を歌うアイデアなんかもあって。いま、材料が足りないんです。お客さんが大入りで。材料を買い足しています。子どもたちは声を出すことが楽しいんでしょうね。また、行事が好きということもありますし、先生と距離が近くなって、うれしいでしょうね。

■インタビュー2 (浦安小5年・組担任 香川敦司先生)
いい経験をさせてもらっています。最初は恥ずかしがる子もいましたが、やっぱり売れるとうれしいんでしょう、声が大きくなりました。子どもがイキイキとしていい顔をしています。学生さんたちは、準備がよくて、遅くまで段取りしてくださって、有難うございます。おいしいという声が聞かれますし、着ぐるみもいい工夫です。チームワークもよく、一体感があります。子どもたちは、先生と一線を画すところがありますが、私たちも今日は一体になりました。子どもたちには、汗を流して働く喜びが分かったのではないでしょうか。裏でどれだけがんばっているかという。そういうことが分かるきっかけになれば、家の人は家でも会社でもがんばっているのだという。「生きる力」ですね。

■インタビュー3 (浦安小 高橋光法校長先生)
全員、声が出ていましたね。途中から「売ろう!」と強く思ったのでしょう。身内の励ましもありました。そこにやりがいを感じたでしょう。まず勉強しそして販売し、売れる。そこに励ましもあり、いい学習活動です。

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