明治大学 平成17年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム広域連携支援プログラム-千代田区=首都圏ECM-本プログラムは、文部科学省が公募する、平成17年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)に採択されました。」
Proj.8 山形で特産物の地域ブランド化成功の事例を調査(原ゼミ)

原ゼミでは、地域間での特産物交流のあり方について研究しています。各地域の特産物の発掘、特産物と地域のブランド化、特産物交流のための仕組みづくりが主なテーマです。

今回、原ゼミは山形へ調査・研修に向かいました。山形には新ブランド【山形工房】というものがあり、山形商工会議所と山形カロッツェリア研究会が、地場の鋳物、木工、繊維分野でのブランド事業を展開・推進しているからです。
【山形工房】ブランドで展開している商品を手がける、〈菊地保寿堂〉〈天童木工〉〈オリエンタルカーペット〉の三つの企業に訪問しました。

【山形工房】は、今年1月にフランス・パリで開催された世界最高峰のインテリア国際見本市「メゾン&オブジェ」で絶賛されたブランドとのこと。そうした地域ブランド化成功の事例が調査できました。

■プログラム報告書より
@菊地保寿堂の菊地社長によるお話

菊地保寿堂の菊地規泰社長にお話を伺った。菊池社長は山形カロッツェリア研究会の事務統括を務められている。当プロジェクトの代表はフェラーリなどの自動車のデザインを手掛けられてきた工業デザイナーの奥山清行氏である。

菊地保寿堂の歴史の話のほか、山形カロッツェリア研究会のことについての詳細なお話を伺うことができた。

まず、研究会の設立までの経緯や概要について伺った。このプロジェクトで大切なのは「地域に愛され世界に通用するものづくり」をすることだそうだ。イタリアの地場産業が元気なのに着目し、およそ1年間の構想期間を経て、平成15年にこのプロジェクトは立ち上げられた。

また、メゾンエオブジェで出品したときのお話などを伺い、山形工房ブランド製品が海外で高い評価を受けていることを窺い知ることができた。

静かな佇まいの菊池保寿堂
A菊地保寿堂店舗見学

菊池保寿堂店舗に移動し、店舗の見学をさせてもらった。

和鉄でつくった山形工房ブランドの看板商品「まゆ」や、彩り豊かな「ふく」などが展示、販売されていた。「まゆ」や「ふく」は、現在、生産が追いつかないほどの人気商品とのことである。


すぐれたデザイン性の鋳物
B天童木工への訪問

当プロジェクト参加についてのお話を伺い、工場見学をさせていただいた。

天童木工は戦後まもなく、日本では初めて成形合板技術を独自で学び、製品に取り入れた企業だ。成形合板の技術に関しては「自社がNo.1である」と自負しているとおっしゃっていた。実際、山形工房ブランドの製品の一つである
「ORIZURU」(写真)は非常に高い成形合板技術を必要とする。

山形カロッツェリア研究会のプロジェクトに参加して変化したことの一つとして、職人の方々の気持ちの変化をあげていた。雑誌などのメディアに取り上げられることが多くなり、職人の方々がさらにプライドを持って仕事に取り組むようになったそうだ。山形工房の製品に関しては販売チャネルが広がった点も変わった点だとおっしゃっていた。ネット販売の売上が伸びたり、今まで天童木工の製品を扱っていなかった販売店でも、販売するようになったそうだ。

高い成型技術の木工
Cオリエンタルカーペットへの訪問

当プロジェクト参加についてのお話を伺い、工場見学をさせていただいた。

オリエンタルカーペットは、カーペットの手織りを手掛ける国内で数少ない企業の一つ。皇居や迎賓館、バチカン宮殿にまでもカーペットを納品してきた企業である。

工場見学では、一連の工程を見学し、詳細な説明を受けることができた。手織りを行う職人の方々の技術の高さを窺い知ることができた。

当プロジェクトの製品は、個人の顧客を対象としたもので、手織りではなく、安価な手刺しという技法で生産される。主に法人相手のビジネスを行っていたが、当プロジェクトによって、顧客層を広げることができたとのことである。

奥山氏のデザインは、今ある技術水準以上のものを要求するものである。生産者の立場からすると、作りやすいデザインの製品を作りがちだが、奥山さんのデザインは、カーペットの特性から見たとても作りにくいものだったという。
しかし、生産の論理ではく、デザインを重視したことが、当プロジェクトの製品である「海」や「紅葉」の売上につながったようだ。

奥山氏デザインのカーペット
ゼミ生が真剣なまなざしで調査

■参加者の感想
当プロジェクトにかかわれた方々の話を伺い、マーケティング、生産、組織など関して、非常に多くのことを学ぶことができた。

ネットワーク組織としての当プロジェクトの運営には調査前から興味をもっていた。菊池社長によれば、山形県、商工会議所、各企業などの役割分担がしっかりしているとのことである。また、生産から販売までをトータルでコーディネーションを行う、山形カロッツェリアプロジェクトの代表である奥山氏がこのプロジェクトの要なのだと改めて実感した。ちなみに、当プロジェクトでは、奥山氏の役割はデザイナーではなく、コンセプターと呼ばれている。

当プロジェクトの事例は、現在の企業経営において重視されている高付加価値の製品を如何にして生み出すかという問題の一つの答えを提供してくれているように思われる。また、地場の中小企業のネットワークによって世界に通じるものづくりを行う当プロジェクトの事例は、地域活性化という観点からも注目されるべきものであると感じた。

■参加者
原ゼミナール
■訪問企業
株式会社 菊地保寿堂
株式会社 天童木工
オリエンタルカーペット
■協力
山形県庁
山形商工会議所
日本商工会議所

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