商学部長 横井勝彦教授インタビュー 専門教育、教養教育、語学教育をトータルに培い
国際社会で活躍できる人材を送り出していきたい

発展的に継承される学部改革プロジェクト

 明治大学商学部は1904年に日本の私立大学としては初めての商科として誕生し、以来100年以上の伝統を誇っています。この間、カリキュラムの改革や2学科制を改めて商学科に1本化し7コース制を採用するなど、様々な改革を通じて教育内容の充実を図り、国際化や情報化などの時代のニーズに応えてきました。そして2004年の商学部創設100周年を機に、これまでの改革をさらに発展させる形で体系化しようということになったのです。

 その後の2005年、当時の福宮学部長のもとでゼミの充実、新コースの創設、語学教育や国際交流の充実、完全セメスター制などの改革が学部改革プロジェクト「Project 101」としてパッケージ化された形で打ち出されました。以来、学部改革プロジェクトを発展的に継承していきながら新しいプロジェクトを組み込んで行くという流れが定着し、それが2007年度の「Project 103」、そして今回の「Project 105」という形で継承されています。

先駆的に行われた教養教育と専門教育の融合

 最近の大学をめぐる大きな出来事としては、2007年に教育基本法が改正されたことが挙げられるかと思います。ここでは、大学の使命がかなり明確に示され、「高い教養と専門的な能力を培う」ことが日本の大学すべての課題となりました。つまり、教養教育と専門教育の融合です。その意味では、明治大学商学部ではこうした考え方を先取りする形で、2005年度から教養科目のゼミと専門科目のゼミを同時に履修できる「演習のダブル・コア化」を打ち出し、学内外で高い評価を受けてきました。例えば、化学と経営学、環境とマーケティング、地域文化と貿易といった形でそれぞれの学生が独自にゼミを組み合わせていくなかで、頭の中で教養科目と専門科目を融合していくのです。その結果、学生は複眼的な視点を獲得し、社会に対しても新しい発想を発信していく土壌が整いつつあります。こうした取り組みの成果は論文などの形で蓄積されて、後続の学生にも大いに参考となり、商学部の大きな財産になっています。

教員による最先端の研究を学部教育に還元

 今回の教育改革プロジェクト「Project 105」では、「先端研究の教育への還元」、「学生による社会連携活動の展開」、「カリキュラムの世界標準化」、「体系的な導入教育の実践」が4つの大きな柱となっています。

 まず、「先端研究の教育への還元」に関しては、一研究者でもある教員が最先端の研究を授業で発表していく「特別テーマ研究科目」を新たに設置しました。ここでは極度に専門的に偏らずになるべく今日的な課題と絡めていく内容にしていきたいと考えています。そうすることで、学生にとっては自分の研究テーマを考える際、あるいはゼミを選択する際の参考になる。また、そこで得た知識を学生が各ゼミや授業に持ち帰ることによって、それぞれの科目に好影響を与えるはずです。研究成果の教育への還元には、そういう学びのきっかけを学生に提供していく意味もあるのです。

教育改革Project 105の内容