明治大学 平成17年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム広域連携支援プログラム-千代田区=首都圏ECM-本プログラムは、文部科学省が公募する、平成17年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)に採択されました。」
Proj. 7 「学生による金銭教育」 カレー販売と販売結果報告(浦安小学校)

富野ゼミナールが行う浦安小学校での金銭教育において、最大イベントである浦安スポーツフェスティバルでのカレー販売は、10月8日、浦安市運動公園で行われました。富野ゼミ生は、この日を迎えるにあたって念入りに準備を重ね、授業を当初の計画より1コマ増やし、カレー販売の練習をしました。

当日、会場では、息もぴったりにそろった小学生の「ここのカレーはおいしいよー!」という元気な声と手拍子が響き、昼食時には店頭に長い行列ができるなど評判も上々のようでした。

翌週には最終授業が行われ、販売結果の発表と、お楽しみ会と称したビンゴゲーム等が行われ、富野ゼミ生は最後まで小学生との交流を楽しんでいました。

  カレー宣伝

■経過報告

■カレー材料仕入れ・調理について
授業の準備とともに裏で進めてきたのが、カレー材料の仕入れである。明治大学のネットワークを活かし、明治大学農学部と「ふれあい神田市場」(商学部・水野ゼミナールが神田の空き店舗にて嬬恋村の野菜などを販売)から新鮮な野菜を、地元である浦安市場からは魚介類を仕入れるために、それぞれ実際に足を運び交渉をし、安くて新鮮な材料を手に入れることが出来た。
カレーの調理はスポーツフェスティバルの前日に小学校の家庭科室で行った。いくつものコンロを使い、大量の野菜・魚介類を炒めたり鍋で煮たりして格闘し、600食分ものカレー完成のためにゼミ生全員で朝から夜まで一日中調理した。

■第5時限:10月8日(日)

授業の主題:実際の販売活動
当日は快晴だったが風が少々…しかし、天候など小学生には関係なく、朝から元気いっぱいであった。小学生は接客、裏方(ごはんをよそう、袋詰め)、広報(ちらし配り、呼び込み)に別れ仕事をした。小学生にとって実際に商売をすることは初めての経験であり、最初は緊張した様子も見られたが、次第に慣れ大きな声で接客や呼び込みをしていた。お昼の時間になるとお客さんの行列ができ、大繁盛で大忙しとなったが、そこにうまく大学生がフォローに入り円滑に販売が進められた。小学生は接客の練習の甲斐があり、お客さんに褒めて頂いたり、励ましの言葉かけてもらっていた。最終的に550杯(内50杯分は小学生のお昼用)のカレーが出て、完売となった。販売が終わり小学生が帰る時、周りの出店の方やお客さんが小学生に拍手を送ってくださり、感動的な締めくくりとなった。

■第6時限:10月11日(水)
授業の主題:利益計算、総括

スポーツフェスティバルでのカレー販売結果報告として、総売上げ、利益を発表した。完売はしたものの利益はあまり出なかったことを伝えると小学生はがっかりしていたが、「商売は甘くない」ということを理解してもらった。このことからお金を得るということは大変で、働かなければ生活ができず、今の生活は両親のおかげであるということを分かってもらえた。最後はカレー販売の売上げからでた利益でお楽しみ会を行い、ビンゴゲーム等をして最後の授業を楽しんだ。授業の話し合いの中で、利益の一部はユニセフ(国連児童基金)への募金をすることとした。

レポート制作、編集
野本なつ美 山本和輝

  カレー販売前日の調理
カレー販売当日の朝
カレー広告

■小学生の感想

・ 注文の受付のとき、大きな声ではきはきと笑顔で「いらっしゃいませ」と言えた!
・ チラシをくばるとき大きな声を出すのがはずかしかったけど、だんだん声も出てきていろんな人がチラシをもらってくれてうれしかった!でも「いいです。」って言われたときはかなしかった。
・ チラシをくばっているときにけっこう大変だなぁと思った。駅の外でチラシをくばっている人を見るとすごいなぁと思うようになった。
・ こういう事をしたのは初めてだったのでいい経験ができたと思う。でも大学生にもっと努力してほしかった。
・ 大人の世界では仕事が一番大変だとわかりました!大人の世界がやっとわかった。
・ お父さんとお母さんは毎日仕事もしていて大変だとあらためて思いました。
・ お金をかせぐ(もらう)ことはこんなに大変じゃないと思っていたので、親の大変さがわかってよかったです。

  最後の授業

■参加学生の感想
富野ゼミ 3年 杢谷奈美

スポーツフェスティバル当日は時間が経つのが早く感じられ、一日があっという間に過ぎました。思っていた以上に小学生のシフトや作業の割り振りがきれいに出来て、とてもうれしかったです。テント内では、各担当者同士でも常に声かけなどがされていました。 ここに至るまでの、授業の準備やカレー販売までの手配は大変なもので、意見のぶつかる時もありましたが、ゼミ生同士でアイデアを出し合い、乗り越えてきました。 ゼミ内の結束が強まり、ひと回り成長できたのではないかと思います。人懐っこい小学生とのカレー販売はとても楽しいものでした。

富野ゼミ 3年 丹羽良全
「小学生に金銭教育を」というのがテーマで、小学生は何回か私たちが行う授業を受け、かつ実際にスポーツフェスティバルでカレーを実践販売をしたことで日頃学べない金銭に関して多くの事を学んでくれたと思います。 しかし、この活動を通し最も多くの事を学び経験させてもらったのは、自分自身のような気がします。 4月から本格的に、このプログラムについてゼミ員同士で話し合ってきて、個々の考え方や意識の違いが原因で幾度となくぶつかりあってきました。「雨降って地固まる」ではないですがそうやってぶつかり合いながらも、お互いが納得しあう事で、私達の絆も深まっていったのではないかと思います。今回得た経験は、今後のゼミ活動にも生きてくるのではないでしょうか。 それ以外にも、日頃接することのない小学生たちと触れ合うことで、元気ももらいましたし、個人的にとても楽しかったです。
最後になりますが、この活動に関してゼミ員含め協力してくださった方々、どうもありがとうございました。

富野ゼミ 3年 古木孝太郎
金銭教育というテーマで小学生に授業をすること、そして小学生に仕事を教えながら模擬店を出店することは、想像以上に難しいプロジェクトでした。入念に準備したつもりでも穴があったり反省の連続で、人に物事を教える難しさを知りました。この経験を通して、改めて試行錯誤することの大切さが身にしみました。また小学生の吸収力や発想力にも驚かされることが多かったです。全てうまくいったわけではありませんが、難しいプロジェクトをやり遂げた充実感はあります。少しは小学生にお金の仕組みが理解してもらえたかと思います。そして今回の活動を通して一番勉強させてもらったのは我々ゼミ員です。半年間、普段できない経験をすることで得るものは大きかったと思います。


■富野先生より一言(proj.7担当教員)
この金銭教育プロジェクトを私のゼミが担当することに決まった際には「弱ったなあ」というのが正直な気持ちでした。活動内容が、ゼミの主たる勉強内容である「生産管理論」や「経営学」とはかけ離れている上に、私はゼミを持ったばかりの(今年のゼミ生は1期生)経験も浅い新米教員。どのようにゼミ運営をしていったら良いのかさえ、ほとんど分かっていない暗中模索の状態。とはいえ、小学生を相手に教育をするということは大きな社会的責任も伴う。そのような手探り状況のもと、プロジェクトは始まりました。
基本的に、ゼミの講義時間を金銭教育の活動や準備に当てることは殆どしませんでした。つまり、学生にはゼミの本活動と並行しながらサブゼミの時間を使って金銭教育プロジェクトの活動をさせましたので、物理的にも精神的にもかなりの負担があったと思います。さらに「活動の方向性のみを示し、あとは全て学生達に考えさせる」というスタンスを終始徹底しました。活動の様々な役割分担を最初から制度的に決めることも、敢えていたしませんでした。ですから私のゼミのプロジェクトでは、いわゆるリーダーは居りません。初めは個々の役割も資質も殆どわからない状態の中から、次々と出てくる目の前の問題を乗り越えていくことで、最終的には100%を超える仕事ができるのではないかと思ったからです。それゆえ、傍から見ていると隔靴掻痒を感じることが多々ありましたし、学生の中でも大小含め何度も衝突があったようです。しかし活動が進んでいく中で自然発生的に創発的に、リーダー的な役割を担う人が出現し、それを個々の得意分野に応じてサポートする人が出てくるという好循環が徐々に生まれていきました。
最終的な結果が成功だったのかどうかは分かりませんが、スポーツフェスティバルの当日、会場で小学生によるカレー販売が終わったときに周りにいらっしゃった浦安市民の皆さんから拍手をいただくという光景がありました。それを見た浦安小学校の校長先生もおっしゃっておられましたが、「大学の教育力が地域社会に貢献する」という現代GPの目的がある程度は達成できたのではないかと思っております。同時に学生達は、組織で動くことの難しさ、人にものを教えることの難しさと面白さ、社会の厳しさを身をもって味わうなど、実に数多くの貴重な経験をさせていただきました。 しかしながら実は、このプロジェクトを通じて最も多くのことを学ばさせていただいたのは私自身だったような気がします。
ご協力いただいた浦安小学校の皆様、明治大学の先生および事務の方々に心より感謝申し上げたいと思います。

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