明治大学 平成17年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム広域連携支援プログラム-千代田区=首都圏ECM-本プログラムは、文部科学省が公募する、平成17年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)に採択されました。」

Proj.8 南信州ブランド構築に向けた研究
水引講座が開催されました (水野ゼミ)

これまで、視察調査研修やミーティングが行なわれてきた【南信州ブランド構築に向けた研究】で、水野ゼミでは、南信州の地域活性化の題材として「水引」を選びました。これは、南信州の主要な産業のひとつが「水引」であり、近年伝統工芸に対する必要性の意識が高まっているにもかかわらず、「水引」の需要が減ってきていることから、その需要の掘り起こしと、認知度アップに貢献しようという取組を行なおう、というものです。
そして、その第一歩として、12月13日に「水引講座」を開催しました。前半は「水引を知ろう!」という人形劇と講義、後半は講師を招いて「水引アート教室」を行いました。
参加者は、事前に募った子ども10名。事後のアンケートからも、水引の認知度を上げる、また水引の需要を掘り起こすためのきっかけづくりとなった、楽しい講義と体験教室の講座となりました。

■水引を知ろう!
講座の前半は「水引を知ろう!」として、学生が子どもたちに講義を行ないました。まずは、人形劇を用いて、「水引」の起源となった「結」の紹介からです。
●人形劇「水引の起源」
飛鳥時代に、遣随使の小野妹子が帰朝したさい、随の答礼使からの下賜品に航海の無事と平穏を祈る紅白の麻紐が結ばれていたことが起源といわれ、これより宮中への献上品に、紅白の麻を結ぶのが慣例となり、のちの平安時代に「水引」と呼ばれるようになった。

次に、その後「水引」がどのように使われてきたか、現在どのように使われているか、という講義を行ないました。
●講義「結ぶツールとしての水引」
江戸時代はまげを結うための「元結」として使われ、その後明治維新の断髪令で「元結」の消費量は減ったが、現在では相撲協会に納められ、力士のまげを結うためなどに利用されている。
一方、「水引」としては、日常生活に定着して、祝儀袋や正月飾りに使われるようになった。
「水引」が主要な産業のひとつである南信州では、昔から和紙作りが盛んで、江戸時代に製造法を藩主が武士に習わせたのが始まりともいわれ、「水引」の素材が麻から和紙に代わると、その主要な産地となり、現在では全国の70%のシェアとなっている。
そして、2016年の夏季オリンピック招致のためのロゴマークとして「水引」がデザインされ、「スポーツと文化を結ぶ。環境と都市を結ぶ。子どもたちと未来を結ぶ。テクノロジーと心を結ぶ。日本と世界を結ぶ。地球と平和を結ぶ」といった「結び」のシンボルとなっている。

そして、 いまでは実用品として使われるほかに、「水引アート」というものがあります、という紹介から後半の「水引アート体験教室」が始まりました。

■水引アート体験教室
水引アート体験教室では、政華流・水引アート主宰の梶政華先生と、サポートに渡辺先生をお招きして、子どもたちが水引アートの作品を製作しました。
今回製作する作品は、季節感があり、完成したら持ち帰っていますぐ飾りたくなる「クリスマスツリー」と「ポインセチア」です。水引の束と、ビーズが配られましたが、これが見本のような作品に仕上がるのでしょうか。
それぞれ作りたいものに分かれて作業開始。一本の水引を結んでは組み合わせます。繊細な水引は作業が難しく、途中でバラバラにばって、やり直しをしている子どももいました。
先生の丁寧なご指導をいただき、また学生や友だちと教えあいながら、最後には全員が素敵な作品を完成させることができました。

今回の水引講座に参加した子どものなかには、いままでまったく「水引」を知らなかった子どももいましたが、この教室をきっかけに水引に興味を持った様子でした。
学生は、今回の講座をベースに、「水引」の認知度を上げて、さらなる需要を掘り起こす次の取組に向けて構想を練っていました。

隋から伝わった「結」
つぎつぎと結んでいきます
このキットを結んでいきます
花が一本できあがりました!
結んでいくと
キレイなツリーの出来上がり

■参加児童の感想 (参加者アンケートより)
○針金が固くて、少し苦労しましたが、ツリーができたときはうれしく思いました。同じ材料を使っているのに、みんなそれぞれ違うツリーができておもしろかったです。また機会があれば参加させてください。
○結び方がとても難しく、作り終えたあとはひとつひとつ形が違って、水引は奥が深いな、と思いました。今回の教室はとても勉強になり、楽しかったです。
○めったにできない体験をさせていただいて、とてもうれしかったです。教えてくださった先生も、学生さんも企画と準備していただいて有難うございました。
○家に水引があったら、また作品を作りたいと思いました。
○思った以上に難しかったけれど、作ってみて楽しかったです。水引アートを使った作品のいろいろなアイデアも浮かびました。
○ミニツリーを自分の部屋に飾りたいと思って一所懸命作りました。

■水引アートを教えてくださった先生の感想
●今回の取組について、どのようにお感じでしょうか。
○南信州ブランド構築の題材に「水引」を選ばれたのは、とても良いことだと思います。
○飯田のNPOの方々と協働して取り組んでおられるのが良いと思います。
●今回の水引アート教室はいかがだったでしょうか。
○子どもたちの自由な発想が、講師としてとても参考になりました。
○子どもたちの目がキラキラ輝き、のびのびとモノづくりを楽しんでいて、教えがいがありました。
●今後、水引の需要アップのため、どのような取組をすればよいと思われますか。
○水引は、戦前には婦人や子どものたしなみでもありました。そうした水引をふたたび身近なものとするため、完成品の販売だけではなく、作り方の啓蒙活動をするのがよいでしょう。
○現代にマッチして、生活の一部となるような、水引を材料とした応用作品、工芸品を作ってPRするのがよいでしょう。

■学生の感想
南信州ブランド構築に向けた研究で、私たちの班は「水引」をテーマにしましたが、取組をいろいろと考えても、さまざまな事情で断念するなど苦労の連続でしたが、今回水引講座を開催できたことで、一歩前進したと思っています。
水引は、その役割が認知されているにもかかわらず、需要が少なくなってきています。南信州の主要な産業のひとつであり、日本古来からの「結」の伝統の灯を絶やさないためにも、これまでにない水引の需要の掘り起しが、南信州の地域活性化に寄与すると考えています。
今回の水引アート教室で、水引を使ったグッズの製作はどうだろうか、という水引の新たな需要の見通しを立てましたので、ひきつづき水引を題材にした南信州ブランド構築のための研究に取り組んでいきます。
水野ゼミ 15期 南信州ブランド班 (南信州ブランド構築に向けた研究)

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