明治大学には、人と社会のさまざまな課題を解明するアイデアを持った研究者がいます。
当然ながら、現実の問題を解決することは、なかなか簡単ではありません。
しかし、彼らはいつか世界に貢献する日が来ることを信じて、今日もテーマに挑み続けています。
なぜって?私たちの限界を決めるのは、いつも私たち自身なのですから。
脱炭素が叫ばれる現代、でもプラスチックに依存している現状。そこで藻の力を借り、光合成のメカニズムを使って、CO2からバイオプラスチックを作る小山内先生の研究を紹介します。さらに先生は、明治大学発バイオベンチャー企業を立ち上げ、直接経営しながら、実用化に取り組んでいます。
専門は生物工学、代謝工学、分子生物学。
光合成微細藻類を用いたバイオマテリアル・バイオエネルギーの生産等環境バイオテクノロジーの研究。その応用研究として、光と二酸化炭素を利用して環境保全や資源問題を解決する技術の開発をしています。
ロボットが人間の姿に近づくほど不安になる気持ち、わかる人もいるのではないでしょうか。どんなロボットなら、人々に受け入れられるかを「人の心理」から考察しているのが、明治大学の小松先生です。私たちは、本当のところロボットとの共存を望んでいないのかもしれない。そんな問いかけにあなたはどう答えますか。
専門は認知科学、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション。人間の認知的な特性を踏まえた上で、人と人工物との関係を観察し分析する研究に取り組んでいる。最近は特に、「なぜロボットは日常生活に普及しないのか」「ユーザと情報機器との間の主観的待ち時間の軽減」という問題に興味がある。
「馬乳酒」には、気候学・環境科学を専門とする森永先生を夢中にさせる魅力がありました。そこには自然とともに生きる遊牧民の知恵が込められていたから。失われつつある文化でもある「馬乳酒」を科学的に分析・記録する先生の試みは、豊富な栄養や微生物の多様性、環境負荷の低い製造法、動物福祉など、多くの示唆を与えてくれます。
専門は気候学、環境科学。モンゴルの遊牧民の伝統知の検証とその継承を試みる。水俣病などの日本の公害経験の途上国への発信も行う。第29次日本南極観測隊夏隊に、日本初の女性の観測隊員として参加。
縄文時代の昔から日本で食器などに活用されてきた漆。その漆を科学している第一人者が本多先生です。深みのある光沢が美しく、それでいて強固な塗膜を持つ漆は、長く愛着に応え、最後は自然に返るエコな素材です。日本の文化と密接に結びついた古くからある材料でありながら、CO2の削減など環境問題の解決にもつながる研究をご紹介します。
専門は有機化合物の分析とその手法開発。主に漆や膠、松脂などの天然有機物を対象にした研究を行っている。特にこれらの天然有機物が利用されたと考えられる伝世品や出土遺物に対する分析を行い、化学的に「何で作られたのか」を明らかにしている。一方で、これらの天然有機物を原料にした環境に優しい素材の開発も行っている。
未来に実現してほしいモノやコトを想像し、コンピュータや3Dプリンターなどを駆使して、プロトタイプを作る。宮下教授の研究室では、そんなふうにアイデアをカタチにすることで未来を検証しようとしています。何をどのように作れば、今よりしあわせに暮らせる社会に近づくのか。多方面にわたる挑戦は続きます。
専門はヒューマンコンピュータインタラクション。VR・3Dプリンター・ドローン・味ディスプレイなどの先端技術がどのように私たちの日常生活に浸透しうるのか、未来の可能性を探っている。
黒田教授が実用化に向けて取り組んでいるのは、人の道具となって警備や危険な作業ができる「使えるロボット」です。ロボットは人手不足に悩む日本の切り札。でも、人混みの中でもスイスイと動き回り、仕事をするためには、現実社会でたくさん経験を積むことが必要です。新人ロボットの社会人デビュー。温かい目で見守りたいですね。
専門は自律型移動ロボット。JAXA「はやぶさ」プロジェクトメンバー。大学で学術研究を行う傍ら、ロボット技術を応用して人の助けとなる持続的な産業を作り出すことを目指している。
「治療法は臓器移植だけなのにドナーが見つからない」「極端に症例が少ない難病であるため研究することさえ難しい」。こうした医療の前にある手ごわい課題を一気に解決する研究が進められています。その第一人者として知られているのが長嶋教授です。困難な病気で悩む人々を救う、まるでヒーローのような研究について解説します。
臓器再生や稀少・難治性疾患の克服を目標として、遺伝子改変ブタやクローンブタを用いたトランスレーショナル・リサーチに取り組んでいる。ブタの体内環境を利用したヒト臓器の作製、ゲノム編集と体細胞クローニングによる疾患モデルブタの開発、異種移植の臓器ドナーとなる遺伝子改変ブタの作出などに注力している。
昔からだまし絵の中で表されてきた不思議な立体を、数学の力によって現実のものにしているのが杉原教授です。錯視は網膜に映った2次元の情報を、脳で3次元に変換するとき、勝手に情報を補うことで起きる現象。だからタネ明かしをされても矯正できないんです。ここは素直に、その不思議を楽しむ方がいいかもしれませんね。
専門は数理工学。視覚の仕組みを数理モデルで解き明かす研究の中で、ありえない動きが見えてきたり、鏡に映すと別の立体に変わったりする新しい立体錯視を発見している。
一枚の紙からさまざまな形を生み出す折り紙は、宇宙開発などにも応用されている技術です。唯一の難点は、大量生産が難しいこと。でも萩原教授は、それを折り紙3Dプリンターと折り紙ロボットで解決しようとしています。そう遠くない未来、折り紙によるものづくりが私たちの生活を変えていく。そんな研究をご紹介しましょう。
専門は折紙工学。折り紙の展開収縮機能を保持する安価な製造法として、新たに、折り紙ロボットを使った折り紙式プリンターを提唱し折り紙の産業化を進めている。
動画内の所属・役職等は制作当時のものになります