商学部特別テーマ実践科目C「ラテンアメリカの開発支援とボランティア」(担当:中林真理子教授)の受講生が、2009年6月26日にブラジル サンパウロ市の名門私立大学FAAP(Fundacao Armando Alvares Penteado http://www.faap.br/english/)とSkypeを通じた学生同士のビデオカンファレンスを行いました。
カンファレンスでは日本とブラジルの学生双方が理解可能な言語である英語を使用しました。少しでも深い議論をするため、カンファレンスに先立ち、四つのテーマを設定しました(「日本の戦後の急速な経済成長の秘密」「ブラジルの経済成長の要因」「日本とブラジルの若い世代の人生観」「日本とブラジルの若い世代の恋愛観」)。そして日本とブラジルの学生がそれぞれのテーマごとにチームを組み、相手方の国の同テーマの学生チームとeメールで質問を交換し合い、さらに、自己紹介のビデオレターなども送り、カンファレンス当日を迎えました。
6月26日(金)午後6時に商学研究所に受講生20名が集合し、同科目に特別講師として参加している米州開発銀行勤務の六浦吾朗氏(商学研究所特任研究員)のリードでリハーサルを行いながら、カンファレンス開始の7時半を待ちました。7時半少し前に、FAAPからのアクセスがあり、カンファレンスが始まりました。
FAAPのGeorges Landau先生、Helio Michelini Pellaes Neto先生、明治大学の横井勝彦商学部長、中林教授、六浦氏がそれぞれ簡単な挨拶をし、さらに当日誕生日を迎えたFAAPのNeto先生へサプライズ・プレゼントとして、明大生がスペイン語でバースデーソングを歌い雰囲気を盛り上げました。
最初は戸惑っていた学生たちでしたが、カンファレンスが近づくにつれ積極的になってきました。質問や回答をわかりやすくするためスケッチブック持参でイラストを交えて説明する明大生グループもあり、最後はこの貴重な機会を楽しむまで成長しました。そして同時にさまざま反省点を自覚し、今後の課題を見出したようです。
カンファレンス終了後、学生たちは興奮冷めやらぬ様子で、商学研究所内での話の輪は途切れませんでした。
東京とサンパウロの現時点での時差は12時間、東京は初夏で、サンパウロは初冬、そして偶然にも明大生は男子学生中心で、FAAP生は2名を除き女子学生、と両校の学生をめぐる環境は何もかもが対照的でした。このような正反対の世界に生きる学生たちがリアルタイムで会話できたことにより、異文化の存在を実感し理解し、これまでの固定観念を打ち破きっかけになったようです。
ラテンアメリカの大学生との対話・交流を通じて学生が主体的にラテンアメリカにおける開発支援のあり方について考察する能力の形成を目指して活動してきました。また、スペイン語・ポルトガル語文化圏に触れることにより英語圏以外の異文化を体験し国際的な視野を広げることも重要な学習目標と捉えています。
今回のビデオカンファレンスによる交流はこれら目標達成に多いに貢献したと同時に、明治大学とFAAP、日本とブラジル、さらにはラテンアメリカ諸国との相互理解につながるよう活動を展開していくためのネットワーク作りにつながったと確信しています。
今回のSkypeを利用した交流は、今後の明治大学における新しい形での国際交流の一つのモデルになったといえるでしょう。
・ブラジルの学生はとても流暢に英語をしゃべっていた。それに比べ、日本の学生の英語力は見劣りし、努力が足りないのではないだろうかと感じた。国際感覚を身に着けるには外国に対する知識などよりも、言語が大事なのだと改めて痛感させられた。これからの外国語学習の励みにもなる良い機会だった。(商学部3年男子)
・本当にいい機会に恵まれたと思います。なかなかブラジルなど海外の大学生と日本にいながらにして情報交換をすることはないので、このような授業を履修することが出来てよかったです。しかし欲を言えば、お互い用意してきた原稿を読み質問の回答に答えるという流れで終わってしまったので、もっと生きた情報、その場で思いついたことをシェアし合うといったことが出来たらよりよいカンファレンスになったのではないかと思いました。
(商学部4年 長嶺佑美)