
(左から)
田中 智三 戸田建設株式会社 明治大学和泉キャンパス 新教育棟(仮称)整備計画作業所長
山﨑 敏幸 株式会社松田平田設計 総合設計室 第三建築設計部長
菅 和禎 学校法人明治大学 管財部施設課
整備計画にかけるそれぞれの思い
菅 昨今、大学での学びは学生が主体的、対話的に学ぶアクティブラーニングという学修スタイルが定着してきていますが、和泉キャンパスではそうした今の時代に必要とされる新しい学修環境・学びの空間が少ないことが課題とされてきました。また、主に学部の1・2年生が学ぶキャンパスのため、そうした新しい学修や多様な学びに興味を持ってもらえるように、「人が集まる場所をつくり、その空間を魅力的に演出する」ことを目指しました。
具体的には、「いつでも気軽に来やすく、親しみやすい空間」、「ここで勉強していたらかっこいいなと思えるスタイリッシュな空間」、「居心地が良くて、長く滞在できる空間」を意識し、和泉キャンパス内の他の建物にない空間を数多く計画しています。また、堀口捨己先生(本学建築学科創始者、現在の和泉キャンパス第二校舎を設計)の精神を現代版に置き換え、建物や中庭を含めたキャンパス整備を実施したいと考えています。

山﨑 和泉図書館設計時から10年が経過し、学修環境も大きく変化しています。設計初期段階では図書館設計時と同様に、大学関係者と数多くの他大学を視察し学びの空間を共に研究することから始めました。また、大学からの多様な要求に対し多角的な検討をするため、通常より倍の所員を動員し大学の思いに応えられる体制を整えました。
堀口捨己という明治大学を代表する建築家が設計した建物の建て替えということで、設計者として第二校舎の記憶を継承し、その学修環境を現代的に再解釈して計画に生かし取り組むこととしました。具体的には、学生の活動を建物外部に創出することを考え、屋外通路の回遊性、学びや交流スペースの屋外テラス、建物内外に連続する一体的なラウンジなどを計画し、学生たちがリラックスした環境で学ぶことができるラーニング・コモンズを目指しました。

田中 私は駿河台キャンパスのグローバルフロントの建築に携わりましたが、明治大学の建物に共通するのは「かっこいい」ということ。ですが、「かっこいい」建物は施工的には非常に難しい作業が伴います。今回は各所に吹き抜けがあるため、足場づくりが困難であったこと。また、天井が無いという仕上げになっているため、通常であれば天井に隠れるところが見えてしまうなど、色々と神経を使っています。
私たちは、設計図どおりつくるだけが仕事ではなく、ユーザー、今回で言うと学生の皆さんを思い描きながら、安全安心に使える建物になっているかということを考え、そのための提案を積極的にすることを大切にしています。
