イベントレポート

魅力ある社会をつくるための明治大学の次の一手を発信し、新しい「知」のあり方を探る「明治大学アカデミックフェス2019」が11月23日、駿河台キャンパスを会場に開催されました。3回目となる今回は、学生、研究者ら1000人以上が来場しました。同時間帯に複数のテーマでディスカッションが催されるなど、明治大学の「知」の最先端に多くの来場者が触れる機会となりました。

メインステージとなったアカデミーホールでは、冒頭、土屋恵一郎学長が登壇し「明治大学の先進的な研究に触れ、熱気に溢れた1日を過ごしていただきたい」とあいさつがあり、続いて、専門職大学院4研究科の合同企画「アカデミック×プロフェッショナル—理論と実務の架橋教育を求めて—」が実施されました。ジャーナリストの池上彰氏による基調講演と、池上氏、土屋学長、さらに専門職大学院4研究科の研究科長を交えたパネルディスカッションが行われました。

池上氏は、現在、多くの大学で教壇に立ちながらフリーランスのジャーナリストとして世界各国を渡り歩き、事件や出来事の現場に足を運んでいるというエピソードを紹介しながら、社会に出て経験を積んだ後だからこそ学び直すことに意味があると言及し、「学問的な根拠や、最新の学説を知識として身につけると、自分自身の仕事の本当の意味を知ることができる。視野が広がり、それが自信につながり、ひいては生きがいを感じられるようになる」と、社会人教育の意義を力説しました。

ディスカッションでは4研究科の教育上の取り組みや、ねらいなどが熱く議論されました。土屋学長は、一つの境地に到達してからまた元の境地へ立ち戻ることを指す「却来」という禅の考え方を紹介し、「明治大学専門職大学院の多様な学びが、日本社会全体にとって有効な却来の場であり続けるよう努力し続けたい」と語りました。さらに、会計専門職研究科長でもある吉村孝司専門職大学院長が「明治大学専門職大学院の教育を一言で表すのであれば、『プロフェッショナルの養成』につきる。ただひたすら邁進したい」と締めくくると、会場からは大きな拍手が送られました。

池上氏・土屋学長・専門職大学院4研究科の研究科長を交えたパネルディスカッション
社会に出て経験を積んだ後の学び直しの意義を力説する池上氏
「却来」という禅の考え方を紹介し「専門職大学院での学びが日本社会の却来の場であり続けるように」と語った土屋学長

EVENT PICK UP!!

数理科学する明治大学

  • 14:00~17:00
  • アカデミーコモン3F メインステージ
  • コーディネーター:山口 智彦

平成28年度に文部科学省に採択された私立大学研究ブランディング事業「数理科学する明治大学」では、新しい文理融合の姿を探求している。本企画では、本事業のこれまでの成果の一端を紹介しつつ、数理科学する「心」について考えた。

第1部「数理科学する心」では、生命の進化軸に沿う形で研究事例が紹介された。生き物の本質や起原、旧人から新人への交代、そしてAI・人工知能との望ましい関係性という広範なテーマが数理科学で支えられている。続く特別講演で『科学する心』の著者・池澤夏樹氏は、“使い道を考えることを強いられて、今は科学がそわそわしている”、“世界像も次第にぶよぶよになってきた”、などの印象的な警句を挟みつつ「サイエンスマインドの現代的展開」と題する科学論を展開した。座談では、数理科学を社会的課題の解決に役立てようという本学の研究ブランディング事業の立場が小川副学長から説明され、池澤氏は“純粋科学にある発見の喜び”に言及しつつ、それを共有し倫理観をもって役立てることが社会とつながることになるのだろうと応じた。

特別講演に登壇した小説家・詩人の池澤夏樹氏

第2部「折り紙工学の世界」は、折り紙のもつ3つの側面「アート、ゲーム、折り紙工学」の特長を浮かび上がらせる5つの講演で構成された。パワーポイントと作品モデルを併用して内容に具体性と厚みを持たせる工夫が随所にみられた。「数理科学」をベースにしつつ、折り紙工学の現状と課題、多様性と面白さがバランスよく演出されており、聴衆は身を乗り出して聴くなど大変興味深く受け止めている様子が伺えた。

企業トップの考えるダイバーシティ・マネジメント

  • 15:00~18:00
  • グローバルフロント1F グローバルホール
  • コーディネーター:牛尾 奈緒美

ダイバーシティ・マネジメントとは、人種や性別、性的指向、障がい、年齢、能力や経験などによる違いを認めながら、企業経営や人材管理などを行う考え方で、昨年に引き続き同じテーマでの企画開催となった。今回は、先進的な取り組みを行う企業のトップ経営者として、㈱りそなホールディングス取締役兼代表執行役社長の東和浩氏、野村證券㈱専務執行役員の鳥海智絵氏、メリルリンチ日本証券㈱代表取締役社長の笹田珠生氏の3人が登壇。牛尾奈緒美情報コミュニケーション学部教授がコーディネーターを務めた。

3人の登壇者(〈左から〉東氏、鳥海氏、笹田氏)

日米比較に考える日本野球の未来像 -企業・地域・学校の関係-

  • 13:00~14:40
  • アカデミーコモン2F ROOM-F(A4会議室)
  • コーディネーター:川口 啓太

日本のプロ野球は、ビジネス改革によって観客動員数を大きく伸ばしてきたが、同様の改革で市場規模を6倍に伸ばしたメジャーリーグに比べると、微増にとどまっている。また、日本の野球人口は減少を続け、深刻な問題として議論されている。本学野球部の出身で、中日ドラゴンズとアトランタ・ブレーブスで活躍した川上憲伸氏と、スポーツジャーナリストの二宮清純氏を招いて、日米比較を通じて日本野球の未来像を展望した。川口啓太商学部准教授がコーディネーターを務めた。

マンガ・アニメ・ゲーム・特撮のミュージアム計画

  • 13:00~18:00
  • グローバルフロント1F 多目的室
  • コーディネーター:森川 嘉一郎

マンガ・アニメ・ゲーム・特撮の展示・保存・アーカイブ構築に関わる専門家を招き、拠点となるミュージアム施設の設置に向けたさまざまな角度からの検討を行った。アニメ特撮アーカイブ機構による『機動戦士ガンダム』や『超時空要塞マクロス』の原画等資料の保存や活用の事例など、具体的な資料や課題にフォーカスして議論が展開された。コーディネーターは、森川嘉一郎国際日本学部准教授が務めた。

スポーツにおけるジェンダー差を問う【展示会】

  • 10:00~16:30
  • アカデミーコモン1F 展示スペース
  • コーディネーター:高峰 修

ジェンダー平等を謳うオリンピック開催を翌年に控え、現在の世界や日本のスポーツ界におけるジェンダー差について検討する企画展示。コーディネーターは、政治経済学部の高峰修教授が務め、政治経済学部「専門演習」の受講生によるパネルが展示された。アカデミーコモン1階の会場では、多くの来場者が足を止め、展示を眺めている様子だった。

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