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学長室

大学における教育研究に関する情報公開の義務化

2010年12月15日
明治大学

教学企画部長 御子柴 博


 本年6月16日付けで、文部科学大臣政務官から学長あてに「学校教育法施行規則等の一部を改正する省令の施行について」なる通知が届きました(施行は来年4月1日)。この内容は、大学が公的な教育機関として社会に対する説明責任を果たすとともに、教育の質を向上させる観点から、公表すべき情報を法令上明確にし、教育情報の一層の公表を促進する、というものでした。

 具体的には、①教育研究上の目的、②教育研究上の基本組織、③教員組織、教員数、各教員が有する学位・業績、④入学者受け入れ方針・入学者数、収容定員・在学生数、卒業・修了者数・進学者数・就職者数、進学・就職状況、⑤授業科目、授業方法・内容、年間授業計画、⑥学修成果の評価、卒業・修了認定基準、⑦校地・校舎等の施設・設備、学生の教育研究環境、⑧授業料・入学料等の大学が徴収する費用、⑨学生の修学・進路選択・心身の健康等に係る支援、留学生支援、障害者支援、があげられています。

 また、情報を積極的に公表するよう努める際には、学生がどのようなカリキュラムに基づき、何を学ぶことができるか明確にする、公表は適切な体制を整え、刊行物への掲載・インターネットへの利用により行う、ことが求められています。加えて、この改正に伴う大学設置基準や大学院設置基準、認証評価の大学評価基準の改正にも言及しています。

 さらに10月19日には、私立大学への補助金を扱う「日本私立学校振興・共済事業団」から、「平成22年度私立大学等経常費補助金に係る資料の提出について」が届き、先の省令改正を前倒しして12月15日までに、①教育研究上の基礎的な情報、②修学上の情報等、③財務情報、を提出・公表するよう依頼がありました(実際には、公表の有無により本年度および来年度の補助金を増減するというものです)。

 明治大学は、近年、大学のホームページに、組織、財務状況、事業計画・事業報告、データで見る明治大学、自己点検・評価報告、等を公表していますが、学内資料の『学事記録』(各年度の教育・研究活動の成果等をまとめたもの、1964年以降刊行)および『本学の概況資料集』(経年変化による推移や他大学との比較を記載、1972年以降刊行)のデータを加え、ホームページにサイトアップします。

 今後、その充実をはかり、入学志願者、在学生、父母、校友はもとより大学を取り巻く多くの関係者、昨今では「大学のステークホルダー」とも総称されている方々に向け、分かりやすい形でのデータ公表を進め説明責任を果たしていく所存でおりますので、ご理解とご支援をお願い申し上げます。

 ところで、お隣の韓国では「教育関連機関の情報公開に関する特例法」により、高等教育機関は13領域・55項目についてウェブサイトを通じての情報公開と政府のポータルサイト「全国大学情報」への情報提供を義務付けています。わが国においても、毎年、「学校基本調査」の提出を義務付けていますが、個別大学の情報は一切公開されていません。
同調査は、5月1日現在のデータとして様式も統一されていますので、大学間の比較も容易です。文部科学省が音頭をとり、根拠法である「統計法」の改正を踏まえ、個々の大学の情報を公開することも国民の声に応えることになるかと思われます。

<参考>
明治大学ホームページ・大学案内
http://www.meiji.ac.jp/koho/about/