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明治大学の研究支援体制

2011年03月07日
明治大学

学長室専門員 塚原 康博


 研究は、教育、社会貢献と並ぶ、本学の重点政策の柱の1つです。本学では、研究・知財戦略機構(以下、機構)を立ち上げ、全学的に研究支援を行っていますが、研究に関しての実行部隊に相当するのが、機構の下にある研究・知財戦略機構研究企画推進委員会です。長年にわたり、この委員会の委員であり、学内の研究支援体制の構築に関わってきましたが、学内の研究支援体制については、学内での理解が必ずしも十分とは言えないので、このコラムでは、これについて解説してみようと思います。

 機構の立ち上げ前から存在していた主な研究費は、特定個人研究費と社会科学・人文科学・科学技術の3研究所の研究費です。このような支援体制に加え、COEに採択されるような大学の顔になるような組織的な研究を育てるには、全学的な支援体制が必要ということで、設置されたのが機構です。新たに設置された機構の下、学内の研究支援体制は研究の発展段階に応じて3段階の体制をとっています。第1段階は、特定課題研究ユニット(以下、ユニット)、第2段階は研究クラスター(以下、クラスター)、第3段階は特別研究推進インスティテュート(以下、インスティテュート)です。

 第1段階は、ユニットです。これは学内・学外の研究者から構成される組織的な研究であり、学内の教員の側から自発に発案してもらい、本学がこれを承認し、機構のホームページに載せることで、本学でどのような研究がなされているかを外部に見えるようにしています。研究グループは研究課題に応じて○○研究所と名乗っていますが、組織をつくるのが目的ではなく、研究成果を出すことが目的なので、5年の時限を区切っています。

 第2段階は、クラスターであり、原則としてユニットの中から、科研費の基盤研究AやBなどでの採択や評価の高い雑誌への論文の掲載など、大きな研究成果をあげた研究がクラスターに選定されます。クラスターへの応募資格はユニットに登録されていない研究も含ますが、クラスターに選定されたときには、ユニットに申請してもらうようにしています。クラスターに選定されると、本学からの資金援助および研究スペースの支援を受けられます。

 第3段階は、インスティテュートであり、原則的にクラスターに進んだ研究のうち、科研費の基盤研究SやAなどでの採択や評価の高い雑誌への論文の掲載など、さらに大きな研究成果をあげた研究が選定されます。GCOEに採択された研究もしくはそれに匹敵する研究です。現在、インスティテュートに認定されているのは、MIMS(明治大学先端数理科学インスティテュート)です。インスティテュートに認定されると、本学から資金、研究スペースに加え、機構付きの特任教員制度を通じた研究者を採用することも可能です。なお、このような下からの発展型のインスティテュートに加え、本学の研究を世界に発信するという戦略に基づき、政策提言型のインスティテュートの設置も計画されています。
 
 上記のような3段階の支援体制以外にも、これを側面から支援する制度として科研費への申請を促すための学内における研究費助成制度や、研究の海外への発信を促すための英文翻訳支援事業なども用意されており、グループによる組織的な研究に限らず、個人研究の底上げも図っています。

 このように、本学の研究支援体制は、個人研究や組織的な研究の底上げに加え、とりわけ組織的な研究については、本学の顔になるような研究に育てるために、それが研究成果をあげていけば、その研究成果に応じて、手厚い支援が受けられるシステムになっています。ぜひこのシステムをご理解いただき、本学の教員がこのシステムを活用し、研究のさらなる発展につなげていただければ幸いです。

〈参考〉明治大学ホームページ・研究知財戦略機構
http://www.meiji.ac.jp/osri/index.html