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明治大学理工学部応用化学科 准教授 深澤 倫子

研究者になれば活躍できるチャンスが増えます!

【水の構造と物性 -研究内容とその魅力-】
私は、「水の構造と機能」をキーワードに、水分子が関連する様々な物質の物理化学的性質を原子・分子レベルのミクロな視点から研究しています。水分子は、地球上や宇宙空間、生体内等に大量に存在し、自然現象や生体機能を支配する重要な要素となります。私の研究室では特に、惑星科学やエネルギー工学の分野で注目されるクラスレートハイドレート、環境科学の分野で重要な氷、医用材料等として応用性の高いハイドロゲルを中心に研究を展開しています。水や氷は身近な物質として知られていますが、科学的に見ると理解されていないことがたくさんあります。私は、水の持つ性質と、様々な存在状態に応じて発現する現象のメカニズムをミクロな視点から明らかにすることを目指して研究を行っています。

【理系分野に進んだきっかけ】
幼少の頃は科学者の伝記を読むのが好きで、高校に進学してからは数学や物理に強く興味を持ちました。大学進学に際しては、両親はどちらかというと放任主義で、やりたいことをやりなさいという方針でしたので、迷うことなく理系に進学を決めました。純粋な基礎物理よりも、物理学の応用に興味がありましたので、応用物理学科がある北海道大学に進学しました。今にして思えば、学科名よりは、どのような先生がいて、どのような研究が行われているかが肝心なので、あまり学科名にとらわれる必要はなかったのかなと思います。大学では、4年生の時に前晋爾先生の研究室に入りました。前先生は南極越冬隊の隊長というご経歴をお持ちで、博士号を取るまでご指導をしていただきました。学生時代から一貫して続けることとなる水や氷の研究のきっかけは、学生時代の前先生との出会いにあります。

【ワーク・ライフバランスについて】
研究者になってから二人の子供に恵まれ、現在は長女が5歳、次女が2歳になりました。子供が生まれてから、必要な時は、朝早く子供達が起きる前に自分の研究や仕事をしています。時間の使い方も、余計なことや今やらなくても良いことは後に回すなど優先順位をつけ、仕事も短期集中でやるようになりました。子供を産むまでは、家事育児と仕事の両立が必要だと思っていましたが、実際に子供を産んでみると、子供が熱を出したら仕事を休まないといけないですし、両立ができないことが多いです。今は、日月単位の短い時間スケールでの両立を目指すのではなく、数年単位の長い時間スケールで結果的に両立できればよいかなと考えるようになりました。

【研究者を目指す学生さんへのメッセージ】
研究者を目指すことのメリットは、研究スキルが身につくことだと思います。医者や弁護士などもそうですが、資格やスキルは生きていくための強力なサポートになります。研究のスキルがあれば活躍できる場所は沢山ありますので、何らかの事情でいったん辞職したり休職したりせざるをえなくなったとしても、その後希望すれば、身についたスキルを活かすことができるチャンスに巡り合うことができます。その意味でも、女子学生のみなさんも躊躇せずに進学して研究者を目指してほしいと思います。

【女性研究者研究活動支援事業に望むこと】
育児をしながら仕事を続けるための切実な問題としては、仕事をしている間、子供(特に幼児)をどこに預けるかということがあります。保育園が、大学や企業それぞれにあればベストと思います。職場の保育園に子どもを預けていれば熱がでたらすぐに行ってあげられるし、産休や育休から復職する際には、復帰のタイミングと入園のタイミングを合わせ易くなります(職場外の保育園の場合、復職が決まっているにも関わらず待機児童になってしまい、復職をみあわせなくてはならなくなるケースがあります)。また、子育中の方のみではなく介護に携わっている方にも同様に必要だと思いますが、状況に応じて働き方に融通を効かすことができる時短勤務制度のような支援制度があると良いなと思います。支援制度が整い、認知されるようになれば、利用希望者も声を上げやすくなると思います。

※本ページ記載の役職は作成日現在のものです。