Go Forward

《入学生特集》 祝辞 世界へ そして地域社会と自分自身 理事長 長堀 守弘



国内観測史上最大の東日本大震災発生から1カ月半余りが経過しました。あらためて、この度の災害に遭われた皆さまに衷心よりお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになられた方々に慎んで深い哀悼の意を表します。学校法人明治大学として少しでも被災地の方々のお役に立てるよう、お力添えさせていただきます。

新入生の皆さん、そしてご家族の皆さま、ご入学誠におめでとうございます。心から「明治大学にようこそ!」と申し上げます。皆さんはこれからの大学生活に向けて、大いに期待を抱き、胸を弾ませていることでしょう。我々大学関係者一同はその期待に応えるべく、誠心誠意全力を尽くしてまいります。

さて、本学は今年創立130周年の節目の年を迎える歴史と伝統のある大学であります。鳥取藩、天童藩、鯖江藩という江戸から隔てた地方から、明治政府の命をうけた藩の選抜生(貢進生)として上京した岸本辰雄先生・宮城浩蔵先生・矢代操先生は、いったんそれぞれの道を歩んだ後、30歳弱の若さで「権利自由」「独立自治」の建学の精神を基盤とする明治法律学校を3人で創設されました。そして、130年経た現在、国内外で活躍される50万人を超える校友を輩出する大学となりました。

現在、世界は激動の大変革時代を迎え、グローバリゼーションの時代を迎えています。皆さんは将来、日本のみならず世界で活躍するためにも、大学生活で自分自身の付加価値を身につけることが大切です。将来の日本を背負って立つ皆さんは、創立者3人の気概に倣い、アジア太平洋と世界全体を視野に入れて物事を考えられるような人財へと成長してくださることを心から祈っております。

『地球と共に歩む』こと。人類にとって1番大切なことはこれではないかと私は思います。130年前には船で何日も掛けて外国に出掛けていた時代から、半日あれば地球の大部分に到着できる時代となりました。遥か昔の縄文時代であれば最大単位だったムラが、技術の発達や文明の開化により、現代では地球単位で物事をはかる時代となりました。時代を経るごとに人間の行動範囲や物の見方は広がっており、それに伴って、構成員である我々一人ひとりにおける物事の価値判断をはかる基準も多様化・複雑化してきているのです。地球と共に歩むということは、結局、個人個人が自分の立ち位置を客観的に見て、他の人や環境を慮った上で自分のできること、すべきことを模索し、自らの意思で行動するということではないでしょうか。そのためにはまず、今ある地域社会での自分の在り方を見つめ、そこから徐々に世界へと視野を広げる志を抱いてください。

大学生活は想像以上に早く経過します。学生生活で関わっていく先生方や友人との出会いを大切にし、自ら主体的に、積極的に物事に取り組んでください。共に語り、助け合うかけがえのない仲間の存在が、学生生活を彩る素晴らしい思い出を作り上げます。明治大学は一生の母校であります。本学における出会いは一生の財産となるでしょう。そして、物理的な時間は誰もが1日24時間ですが、誰にも制約されない自分の時間を1番持つことができるのは大学時代ではないかと思います。この時間を使って、一度立ち止まり、『自分』という存在について深く考えてみてはいかがでしょうか。

ここに、皆さんのご入学を心からお祝い申し上げるとともに、明治大学における学生生活を通じて、皆さんが心身ともに豊かに成長され、自分だけにしかない光り輝く『個』を確立されることを祈念し、お祝いの言葉といたします。