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3創立者出身地で学生が政策提言



社会連携機構(機構長=藤江昌嗣副学長)は、昨年8月下旬から12月にかけての約3カ月間、創立者の出身地3地域(鳥取県、山形県天童市、福井県鯖江市)で、学生と地域の人々の交流と連携を通じて、地域活性化の提言を行う学生派遣プログラムを開催した。3地区14グループに分かれ、現地フィールドワークを実施し学生たちは10月に成果報告書を作成。11月以降から順次現地での成果報告会に臨み、さまざまな学びや気づきを得た。今回、鯖江市のプログラムに参加した安井奈緒子さん(経営2)の寄稿でその一端を紹介する。

政策提言を終えて 

安井奈緒子(経営学部2年)

メイドインジャパンの技術力を結集した丈夫で軽いメガネ。口の中がひぃひぃ!なるほど大根おろしをきかせる越前おろしそば。西山公園のレッサーパンダの愛らしさ。そして何より鯖江市でいきいきと活動しているアクティブな方々を、4カ月前全く知らなかった。その素晴らしさを、今は実感をもって語ることができる。

2012年夏、第一志望のゼミに落ちた悔しさから再チャレンジする形で応募した『明治大学創設者出身地学生派遣プログラム』。このプログラムは、鯖江ブランドの創造を目標に、テーマに分かれ、夏の現地調査を経て秋に再び鯖江市の方々へ事業提案を行うというものである。

私達のテーマは「市民主役のまちづくり—熟議形式を使って」。若者と政治を近づけるための学生団体に所属していた私は、ここにその実践を求めた。

結果は、まず何より求める像の共有の難しさを痛感した。否、北陸本線の米原駅で乗り換えて、景色がまばらな一軒家と色落ちした巨大な看板に変わる時からその予感はしていたのだ。

今回私たちはいわば都会の若者という立場で調査を開始した。宿に向かうバスの車窓からは、町の人々の暮らしは想像がつかない。ただそこに当たり前に暮らしている人々に、なぜ私が内面の変化を求めるのか。一つの解となる人に出会った。その人は鯖江出身で一度東京に就職し、そこで学んだビジネスコンテストのノウハウや築いたネットワークをもって鯖江市に戻り、福井県の大学生とともに、毎年「鯖江地域活性化プランコンテスト」を運営している。

私は地域活性化の真の可能性は、ソトからの見たこともないような真新しい提案ではなく、こうした都会らしい改革の感性と故郷への誇りを併せ持った人間がその地に増えることにあると思った。そして不思議なことに、提案を終えた後の方が、「こうした方がよかった」と、より良い提案が浮かんでくるのだ。だからこれからも“鯖江”は私の中で巡り続ける。また行かなければ、そう思う。