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福島県新地町で今年も「明大week」 学生・教職員一体で復興支援イベント

福島県新地町と「震災復興に関する協定」を締結している明治大学は8月2日~11日、「明大week in 新地 2014~今年も明治大学が新地町にやってくる!~」と題する復興支援イベントを行った。昨年に続いての実施で、学部間共通総合講座「東日本大震災『復興支援』ボランティア講座」の履修学生28人による小学校や児童館でのボランティア実習、本学教員による「夏休み科学教室」の実施、「やるしかねぇべ祭」への教職員ボランティア派遣などに加え、司書課程履修学生による図書館でのボランティア活動、大学公認サークル「ウォーターポロ」有志学生の水球デモンストレーション、体育会ローバースカウト部のデイキャンプなど、新たな取り組みもあった。

各イベントに携わった、学生や教職員からの寄稿を以下に掲載する。

◆ 植物工場モデルで野菜を育てよう ~新地町で科学教室~

8月8日、小・中学生を対象に、科学教室を開催した。テーマは「植物工場モデルを作って、野菜を育てよう」で、未来の食料問題を解決しうる植物工場の仕組みを学習しながらの科学工作が中心の内容だ。私が福島で科学教室をやるならこれと思っていた内容でもある。

【写真1】養液濃度チェック実験。スイッチオフの状態(左)から、スイッチオンにすると針が右に振れ(中)、水を足して養液を薄めると針の振れが小さくなる(右)

今回、目指したのは、養液の濃度をチェックする機能を備えた植物工場モデルの作製だ。無機塩類を溶かした養液の濃度は、植物に無機塩類が吸収されれば薄くなり、水が吸収されたり蒸発したりすれば濃くなる。植物工場では、養液の最適濃度を維持するため、養液に電圧をかけた際の電流の値で養液濃度をチェックして、水か無機塩類を足してコントロールする装置が備わっている。そこで、ペットボトルを整形して養液タンクとして、そこに電極板を入れ、電池とバッテリーチェッカー(100円ショップで購入できる、簡易電流計)をつないで、養液濃度をチェックできるようにしようと試みた。

【写真2】「植物工場モデル」に野菜の苗を植えたところ

この原理の説明や、スイッチ作製などの細かい作業に戸惑っていた小学生も、養液濃度チェック実験(写真1)で針が振れ、電極から泡が出ると歓声を上げ、中学生らとともに集中して取り組んでくれた。完成した「植物工場モデル」に野菜の苗を植え付け(写真2)、栽培方法を話して科学教室を閉じた。

小・中学生の皆さんが、目を輝かせて大切そうに持って帰る姿がとても印象的で、嬉しくもあった。
(浅賀宏昭 商学部教授)
 

◆ 理工学部応用化学科も科学教室に

古谷教授による化学実験の安全説明 学生スタッフと楽しい化学実験 作ったメダルと記念撮影

新地町での「夏休み科学教室」に、今年から応用化学科も参加することとなった。古谷英二教授を中心にボランティアを含めた5人の教員と7人の学生スタッフが実験を指導する万全の体制で臨んだ。小学校の理科室で実験を行うのは初めてで、少し心配もあったが、新地町の小学生に夏休みの一日を有意義に楽しんでもらいたいと入念な準備を行った。

8月11日は、新地町教育委員会の松本一宏課長補佐にご協力いただき、朝8時から町立新地小学校でしっかりと実験の準備を行い、10時のスタートを待った。科学教室を楽しみに笑顔で理科室に入ってくる小学生を迎えて、いよいよ実験である。参加した小学生17人に対して、「金属の旅をみてみよう~銅メダルが金メダルに変わる!?」をテーマに、「電子レンジを使った銅の製錬」、「金属の性質の探求」、「銅メダルからの合金メダル作成」の3つの化学実験を行った。銅の製錬では孔雀石が小さな銅の塊へ、合金メダルの作成では銅メダルが銀色メダルそして金色メダルへ、目の前で様子が変わっていくため、その変化に驚く子どもたちの顔はとても印象的であった。最後は、作ったメダルをかけて集合写真を撮り、12時に笑顔で科学教室を終えた。

後日、参加した学生スタッフから、新地町の小学生と化学をツールに交流できたことが、本当に嬉しかったと感想があった。夏の一時に、理科室で小学生と大学生が一緒に盛り上がった科学教室は、スタッフにとっても、貴重な経験となった。今後も、応用化学科では、化学を通して楽しい時間を共有できる「夏休み科学教室」で、新地町の子供たちに素敵な思い出を提供していきたい。
(小池裕也 理工学部講師)
 

◆ 公認サークル・ウォーターポロの有志学生による水泳指導

子どもたちと一緒にプール遊び 水球のデモンストレーション

明治大学の公認サークル、ウォーターポロは8月4、5日の2日間にわたって新地町の小学校でアクアスポーツ教室を行った。児童4、5人につき大学生が1人のグループに分かれ、学年やレベルに合わせてボール遊びをしたり、水球の模擬ゲームをしたりした。

昨年に引き続き行われたものであるが、今年はより多くの学生が参加したことで内容もより充実した。低学年の児童の中には水に潜ることができない子もいたが、学生と一緒に練習していくうちに水に慣れ「潜れるようになった!」と嬉しそうに話していた。高学年の児童は模擬ゲームを行い、とても楽しそうにシュートを打ったりボールを追いかけたりしていた。

2日目には、震災による被害の復興工事が終了した福田小学校のプールのオープニングセレモニーで水球のデモンストレーションを披露した。新地町長、議員の方々、教育委員会の方々、教職員全校児童が見守る中でのパフォーマンスであった。児童たちはデモンストレーションに歓声を挙げながら、初めて見る水球にキラキラと目を輝かせていた。

水球・プール遊びを通して児童たちの楽しそうな素晴らしい笑顔を見ることができ、学生も元気をもらった。「来年もまた来てね!」と言ってくれた児童らのためにも、東北との連携の継続を願うものである。そして私たちの活動が少しでも福島の復興、児童たちの心のケアにつながれば幸いである。
(ウォーターポロ 三浦なつみ)

◆ 体育会ローバースカウト部  2014年度新地町復興支援活動報告

24人の児童と記念撮影

今回、体育会ローバースカウト部は8月1日から4日にかけて新地町に入り、部の2大方針の一つである奉仕活動を実施した。当部の活動は野外活動と奉仕活動である。この4日間で当部の出席者は、3日に開催したデイキャンプスタッフに23人、新地町商工会青年部主催の「やるしかねぇべ祭」への参加に6人、明治大学から祭りに参加する人への食事提供に4人という3班33人に分かれ活動を展開した。

今回のメインとなるデイキャンプは3.11の翌年の2012年から企画していたが、さまざまな事情により延期し、この夏ようやく実施することができた。大学や新地町の方々に募集からたくさんのご協力をいただき、その甲斐もあり、新地・福田・駒ヶ嶺小学校から24人の児童が参加してくれた。

デイキャンプでは、「新地の自然を楽しもう!」というテーマのもと、屋外での調理や全身を使ったゲーム、キャンプのスキルを活かした秘密基地作り、自然の物を用いた工作といったプログラムを行った。参加した子どもたちは独創的な秘密基地を作ったり、工作した竹水鉄砲で部員と全力で遊ぶなどした。

今回、新地町での活動は各班で独立して展が、来年度は新地町の小学生により楽しめる企画を提供できることを期待したい。
(ローバースカウト部主将 渡邉翔太)

◆ 「やるしかねぇべ祭」に明大の学生・教職員が参加

エコステーションの管理は明大生 必笑!明大チャンスパターンメドレー すぐに上手になれます 子どもから大人まで大盛り上がり!

明治大学の学生と教職員が、復興を祈念して8月2日に新地町で開催された、地元商工会青年部主催の「第4回やるしかねぇべ祭」にボランティアとして参加した。

本学の祭りへの参加は3回目となり、学生の参加者も増えた。文学部平山ゼミ、情報コミュニケーション学部川島ゼミ、体育会ローバースカウト部などの総勢50人を超える学生たちが参加し、会場のエコステーションの管理や出店の運営の手伝い、会場の盛り上げ、そして後片付けまで町の皆さんと一緒になった活動を行った。

応援団バトン・チアリーディング部出身の職員らによるチアリーディングでは、野球の応援などで使われる「チャンスパターンメドレー」を新地町特別バージョンにアレンジし、参加者に笑顔を届けた。

プロのマジシャンとして活躍する職員によるマジックでは、間近で繰り広げられる信じられない光景に、大きな歓声が沸き起こっていた。

一般社団法人日本けん玉協会3段の資格を持つ職員によるけん玉教室も開かれ、基本的な持ち方や技のコツを伝えた。昨年に続いて参加した子どもたちもおり、前回より上手になっている様子がうかがえた。

明治大学では今後も、町の盛り上げにさまざまな取り組みで協力していく。
(明治大学職員 松永基希)