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理工・小野准教授と穂翔会村田病院が脳卒中リハビリテーション技術を開発

理工学部の小野弓絵准教授(電気電子生命学科・健康医工学研究室)と、医療法人穂翔会村田病院(大阪市生野区)の村田高穂院長らはこのほど、手に麻痺を持つ脳卒中患者の「手を動かしたい」という意思を脳波から検出し、患者の手に取り付けた装具を動かすことで、手の動作感覚をフィードバックするリハビリテーション技術「Digital Mirror Box(デジタル・ミラー・ボックス)」を開発した。

この技術は、手の動きを想起することで手の運動野の活動が変化する現象を利用した、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の医療応用を目指したもの。

動作の想起が困難な麻痺患者でもイメージしやすいよう、ボールを握る手の実物大の映像を、患者の麻痺した手を覆うように設置したタブレット越しに見てもらいながらリハビリを実施する点が特長となっている。

自身の手が運動しているような視覚フィードバックにより動作の想起が促進され、患者の脳波の変化として検出されることで、装具が同時に動くことから、疾患で失われた「動かす意思」→「手の動き」→「手の動作感覚」からなる一連の運動‐感覚経路が刺激され、運動機能の早期の再構築が期待される。

今年5月に村田病院の入院・外来患者16人に行った予備実験では、20分ほどの単回訓練で、すべての患者が自らの意思で装具を動作させることができ、訓練後に指の動きが回復する患者も複数見られた。今後さらなる研究を続け、適応のある障害の種類・程度の研究や、リハビリとしての手法の開発につなげていく予定。

なお本研究は、介護ロボットの研究開発・製造・販売を行う株式会社エルエーピー(LAP、神奈川県厚木市)から、装具の提供を受けて実施している。

「Digital Mirror Box」のイメージ図