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本棚「スタートアップ会計学」本所 靖博 ほか 著(同文舘出版、2,500円+税)



本書は、これから会計を学ぼうとしている初学者を対象に編集された入門書である。周知のように、わが国の伝統的な会計教育では、記帳方法の習得が最優先とされ、各種検定試験も同様の体裁をとってきた。もちろん会計の知識を真に得るためには、複式簿記の理解が不可欠であることはいうまでもない。しかし、いわゆる「記帳訓練」に偏りすぎると、会計の本当の面白さを知らずに、些末な知識をやみくもに暗記する者が続出することになる。

これに対して、本書は、財務諸表の利用方法から始まって、主要分野である財務会計論・管理会計論・監査論の概要が紹介され、さらには会計の歴史や経済社会における役割も理解できるように工夫されている。したがって、本書は、従来の入門書とは一線を画すものとなっている。学生のみならず会計に関心のある社会人の方にも一読を薦めたい書物と言えよう。

梅原秀継・会計専門職研究科教授(著者は農学部講師)