本棚「紳士の名品50」中野 香織 著(小学館セレクトムック1,800円+税)



頷きながら読み進むうちに「シルクネクタイは洗ってはいけない。洗うと“死んで”しまう。シミがついたら捨てるという潔い覚悟が必要」という一言に遭遇し、反省しきりである。

ダンディズム研究者である中野氏の新著は、「自信」を失いつつある日本の中高年へのエールである。彼らが独自の存在感を放つために考慮すべきことを、名品を通して語る。「贅沢とは全方向に配慮した最高のふつう」と喝破し、「最高のふつう」を体現する「紳士」のふるまいを説く。

年月とともに劣化する工業製品とは違い、職人の逸品は、使い手の力量次第で、年月の経過とともに良くなる。エイジングは、老化(劣化)か熟成か。人間も劣化しては工業製品と同じである。名品とともに自分自身も熟成させよと著者は励ます。

国際派である中野氏は、フォーマルウェアを例に、日本のガラパゴス慣例順守魂(皆と同じが無難と思考停止している)を指摘し、グローバル化を促すことも忘れない。

この本を読んで、個人的に、私も人生上がりの車を考えたくなった。

小笠原泰・国際日本学部教授(著者は国際日本学部特任教授)

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