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国際武器移転史研究所・第4回シンポジウム「世界の大学における軍縮研究」



国際武器移転史研究所(所長=横井勝彦商学部教授)は11月22日、第4回シンポジウム「世界の大学における軍縮研究—ヨーロッパの研究・教育機関を中心に」を駿河台キャンパス・グローバルホールで開催した。

総合的な歴史研究を通じて、軍縮と軍備管理を阻む近現代世界の構造を明らかにすることを目指す国際武器移転史研究所。本シンポジウムでは、スイスのジュネーブ高等国際・開発問題研究所に拠点を置く「スモール・アームズ・サーヴェイ」のキース・クラウス教授と、ロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部のジョセフ・マイオロ教授を招き、ヨーロッパの軍縮・軍備管理研究の先端を担ってきた両機関の事例をもとに、この分野における国際的な研究・教育の在り方を模索した。
第1報告でクラウス教授は、スモール・アームズ・サーヴェイの設立の経緯に触れながら、政府からの資金援助を受け、世界50カ国で15年間にわたる研究の歩みを紹介。小型武器や弾薬の国際的な流通を阻止するためには、「基本研究に基づいた政策の立案が重要」と指摘した。また、どのように公共政策に影響を与えられるかについて、次世代を担う研究者育成の重要性など踏まえて言及した。

続いて行われた第2報告では、マイオロ教授が登壇した。イギリスの戦争の歴史に深く関与しながらロンドン大学キングス・カレッジ内に設置された、世界でも類をみない「戦争研究学部」の成り立ちを解説。現在、世界各国から約700人の学生が国防や安全保障を学んでいる現状について説明した上で、「政府と密接に関わり合う一方で、独立性も保つ必要がある」との考え方を示した。

横井所長も加わった質疑応答では、政治学、歴史学、国際関係学などさまざまな視点から、質問が投げかけられ、学術研究と政策への影響や戦争研究と平和研究の観点の違いなどについて、議論が深められた。