Go Forward

「地域と大学を結ぶ父母会 —デリバーMeijiの伝統—」

図書館長 吉田 悦志

明治大学は1881(明治14)年に「明法寮の5人組」と言われていたフランス法学を学んだ若い人たちが創りました。明法寮とは官立の法律学校のことです。そこで学んだ岸本辰雄、宮城浩蔵、矢代操、磯部四郎、杉村虎一の5人です。全員を創立者とは言いませんが、岸本、宮城、矢代は明治13年12月に東京府へ明治法律学校設置申請書を提出した時の書類に名前を連ねた人たちでした。彼らを支えた磯部、杉村の名前も忘れてはいけないと思います。

岸本が鳥取県、宮城が山形県、矢代が福井県、磯部が富山県、杉村が石川県出身です。みな日本海側地域の出身です。高く峻険な山地山脈が日本列島を貫く中央分水嶺を形成しています。その日本海側地域から、太平洋側地域の都市を眺めて憧憬と反骨の精神を養ったのです。地域の風を都市に送り都市の風を地域に送った。地域と大学を結ぶデリバーMeijiの伝統は彼らが造ったと思います。

本年5月22日から24日にかけて富山県、石川県、福井県の父母会懇談会に出向いてきました。磯部四郎と杉村虎一と矢代操を生んだところです。この地での父母会出席は感慨深いものでした。地域と大学の最新情報を交換する場です。明治大学父母会の活動の充実ぶりは全国大学で間違いなくトップです。御子女が学ぶ大学、学部、キャンパス、就職活動、学習などについての情報を共有します。地域と大学を父母会が結びます。

明治大学が137年にわたり築いてきたこの伝統は、校友会にも脈々と受け継がれています。全国展開される校友大会がそれです。またリバティアカデミーを中心として各地で開催されている公開講座があります。知の風を地域と都市に還流させるデリバーMeijiの伝統が引き継がれています。