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明大びと—日本酒の未来を、安芸津から世界へ

(株)今田酒造本店 代表取締役・杜氏 今田 美穂さん(1985年法学部卒業)

〈今田さんのインタビューは、広報誌『明治』第83号(2019年7月15日発行)でご覧いただけます〉

“バンカラ”“質実剛健”の明治に憧れ、広島から上京。卒業後、百貨店勤務を経て1994年からは家業である今田酒造本店に。現在は、日本酒蔵元の経営者、杜氏として日本酒と共に日々を過ごす。

「米・米麹・水——。原料がシンプルだからこそ、造り手の力量が出るのが日本酒」。先代杜氏の下で酒造りに携わって5年ほど経った頃、広島の在来品種である「八反草」を原料とした純米吟醸酒「富久長」を完成させた。富久長は、フランスの日本酒コンテスト「Kura Master」で最高位プラチナ賞を見事2年連続受賞。「吟醸酒発祥の地」広島県・安芸津の酒が世界から注目を浴びるようになった。

「広島の牡蠣に合う日本酒を」と依頼されたことをきっかけに、牡蠣とのペアリングで味わう「海風土 seafood」を生み出した。本来、日本酒には乳酸やコハク酸が多いが、牡蠣に合うのはレモンのようなクエン酸。うま味、アルコール度数、さらにワインの成分を分析し、化学的アプローチから「白麹」にたどり着いた。

食が多様化し、日本酒の役割や、飲み手は時代とともに変化している。日本酒業界に女性杜氏はまだ多くはいない。「これからは、女性が日本酒を楽しくする」——日本酒の未来に期待を込め、「前へ」進み続けている。