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第610回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ

「射撃界29年ぶりの五輪メダル獲得へ!」射撃部 平田 しおり

文/伊東 彩乃(農3) 写真/上松 凜助(法4)



東京五輪開幕まで30日を切った。明大には日の丸を背負って戦う選手がいる。射撃界の若きヒロイン、平田しおり(政経4=金沢伏見)だ。

平田が競技を始めたのは、わずか7年前。「高校に入ったら新しいことを始めたかった」。それまでは書道一筋。ただ、クレー射撃の選手だった父に連れられ、大会を観戦。ビームライフル(光線銃)の体験をするなど、幼い頃から射撃は身近な存在だった。

競技を始めるとすぐに才能は開花し、瞬く間に頭角を現す。高校1年次の8月。オープン参加で国体のブロック予選に出場すると、県の代表選手らを抑え、見事優勝を果たす。「たくさん褒められたけど、自分ではそのすごさを全く理解していなかった」。その後もめきめきと実力をつけ、2019年のアジア選手権で3位入賞。競技開始からわずか4年で五輪代表の座をつかみ取った。

五輪代表に内定した瞬間を振り返ると「全然実感がなかった」という。それが徐々に実感に変わっていく中で、まさかの1年延期の知らせ。「内定が取り消されるんじゃないか。実力は保てるだろうか」さまざまな不安が胸の中に広がった。予定されていた大会も軒並み中止に。しかし「1年間練習をやればやるだけ実績は積もる」。ライフル射撃は、銃の規制により、日本では競技できるのが18歳からとなる。そのため、平田は競技を始めてからまだ日が浅いのだ。経験値を上げるべく、「1分1秒無駄にしないように」とこの1年間練習に励んできた。

「悔いが残らない精一杯の射撃がしたい」。練習量を自信に変え、表彰台の頂を狙い撃てるか。日の丸を背負った平田の戦いが今、幕を開ける。
(ひらた・しおり 政経4 金沢伏見 160㎝)