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第631回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ

「好きこそものの上手なれ」競走部 鈴木 憲伸

文/島田 五貴(文1) 写真/出口 千乃(商3)



陸上との出会いは小学2年生で参加した陸上教室の体験会。体を動かすことが好きだったためハマるのに時間はかからなかった。鈴木憲伸(営4=明大中野八王子)をさらに陸上沼へと引きずり込んだのは「君は幅跳びの才能がある」という言葉。「この一言のおかげで跳躍種目を専門的に取り組むようになり、今の僕がある」と語った。中学時代は体が小さくうまくいかない日々を送る。それでもやれることに対して全力で取り組んだ。努力が実ったのは高校生になってから。専門種目を走り幅跳びから三段跳びへとコンバートし、この決断が功を奏した。伸び悩んだ中学時代とは打って変わって才能が開花し着実に力が付くのを実感した。そして、3年次には最高峰の舞台であるインターハイに出場した。しかし、全国の舞台におけるプレッシャーが鈴木の調子を狂わせる。結果は3本全てファールで記録なし。「不完全燃焼もいいところ。その日は高校で一番泣いた」と己のふがいなさを悔やんだ。しかし、鈴木は折れない。「陸上が嫌にはならなかった。むしろこの経験から大学で勝ちたい気持ちが芽生え、陸上を続けることを決意した」。リベンジを誓った大学では同期と切磋琢磨しながら実力を伸ばしていく。また、競技に対する姿勢が買われ4年次では短距離ブロック長にも選出された。最終学年として迎えた日本インカレ。これが学生最後の大舞台だった。日本一の目標を掲げたが4位でフィニッシュ。それでも明大記録を更新する16メートル台をマークした。目標達成とはならなかったが「やってきたことが発揮できたので思い残すことはない」と爽やかな表情を見せた。

陸上人生の最終目標は日本一になること。目標達成のためならどんな努力も惜しまない。ここまで本気になれる理由を聞くと「一つは勝ちたいから。そしてそれよりも陸上が好きだからという理由が大きいです」とうれしそうに語った。4月から始まる新天地での活躍を期待したい。

(すずき・けんしん  営4  明大中野八王子  179cm・60kg)