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第633回 ズームアップ

「クルーを支える熱く冷静な司令塔に」端艇部 岡部 華林

文/新谷 歩美(政経3) 写真/佐藤 慶世(政経4)



コックス。それは、ボート競技において唯一オールを持たないポジションである。力勝負ではなく漕手の動きを合わせてこぐ〝究極の団体競技〟であるボートにおいて、コックスの存在は必要不可欠。艇をまっすぐ進める舵取りとクルーへの指示であるコールを専門とし、レースでは客観的に状況を見つめ、指示一つで流れを左右させるキーマンだ。岡部華林(文2=佐野)は、高校時代からコックス一筋。高校2年次に出場した関東選抜では舵手付きクォドルプルで史上初の全国選抜進出に貢献した。明大でも持ち前の明るさと視野の広さで勝利へとクルーを導く。

先日行われた日立明三大学レガッタ。今年度で67回目を迎えた伝統の一戦だ。岡部が出場した女子エイトは、コックスと漕手8人が乗艇する。対する立大は7年間優勝の座を譲っていた因縁の相手。昨年度もエイトに出場した岡部だったが、1年生だったこともあり「自分のできる部分は少なかった」と力及ばず。だが、今回は練習から「一生懸命自分から発信した」と勝つための準備を怠らなかった。そして迎えたレース本番。「接戦になることは分かっていた」という言葉通り、1000メートル地点をわずか1秒差で先行する緊迫したレース展開に。だが岡部は冷静にレース展開を読みつつ熱いコールでクルーを鼓舞し続け、見事優勝。練習から意識した発信力が実を結んだ瞬間だった。

「自分が乗っているから安心」。「任せておけば大丈夫」。そんな存在になりたいと語る岡部。クルーにぴたっとはまるコールで目標の日本一へ。彼女の存在が、艇を加速させる大きな推進力となる。
(おかべ・かりん 文2 佐野 147cm)