Go Forward

本紙既報の通り、本学総合数理学部の宮下芳明教授が、今年のイグ・ノーベル賞を受賞された。筆者にとって喜ばしかったのは、この賞の受賞を、本学が全学的に祝福していたことである。

この賞は、本家のノーベル賞のパロディ的な意味合いを持つものであり、「人々を笑わせ、そして考えさせる」という、いわば常識にとらわれた思考の転換を促す力を持つ研究に与えられる。宮下教授の電気味覚の研究は、その実用性も明らかだが、受賞対象となる研究の全てが、すぐに実用性に結び付くものばかりではない。目先の小さな実用性より、大きなブレークスルーにつながる可能性を重視しているとも言えるだろう。

この賞の賞状には、ロダンの「考える人」が、台座から転がり落ちてもそのまま考え続けている様子が描かれている。はた目には滑稽に見えるほど、考え続けずにはいられない人こそが、それまで誰も思いつかなかったようなことに気づき、それを粘り強く形にすることができる。明治大学は、転んだまま考え続けてしまう人に、考え続けることを許す場であってほしい。