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震災等復興活動

名取・旅おこし講による宮城県名取市閖上地区での活動報告

2016年04月06日
明治大学 震災復興支援センター

語り部による閖上地区の説明語り部による閖上地区の説明

仮設住宅にお住まいの方との交流仮設住宅にお住まいの方との交流

閖上たこ焼き閖上たこ焼き

ツアー参加者との集合写真ツアー参加者との集合写真

 本学文学部を今春卒業した学生から、宮城県名取市閖上地区での活動に関する寄稿がありましたのでご紹介いたします。
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 私たち「名取・旅おこし講」は、宮城県名取市閖上地区で、閖上地区の文化や伝統などを外部に発信して魅力を感じて頂けるツアーの企画・実施し、ツアーのお客様だけでなく現地の方々も楽しんでもらうことを目標に、明治大学と名取市の尚絅学院大学が連携して活動を行っています。
 2月13日から14日にかけて、なとりっぷ第6弾と称してツアーを開催しました。今回のツアーのコンセプトは、「閖上スキルを身に付けよう!」です。閖上スキルとは私たちが考えた言葉で、震災で得た防災術の数々や、これまで閖上に根付いた文化のことを指します。ツアーを通して閖上のことを知ってもらうだけでなく、被災地閖上の側面から防災のスキルも学び体験してもらうことを目標にしてツアーを作り上げてきました。

 1日目は、仙台駅に集合してバスに乗り、まず津波で流された閖上地区を訪れ震災を経験した語り部の方から当時のお話を聞きながら散策しました。参加者の中には被災地に足を運ぶのが初めての方もいらっしゃり、その光景を目に焼き付けていました。
 閖上地区を見学した後は美田園第一仮設住宅を訪ねて、現在も仮設住宅で生活をしている方々と一緒にキャンドルづくりをしました。ツアーのお客様と仮設住宅の住民の方と交流しながらキャンドルづくりを楽しむことができ、各々のキャンドルを作り上げました。
 夜は、市民防災団体「ゆりあげかもめ」さまより震災経験を交えた防災のお話を聞きました。さらに簡易コンロを作りそれを使ってご飯を炊いて避難体験をしながらの夕食を食べました。他にも名取名物のセリを使ったセリ鍋も食べながら、お客様とスタッフ同士の交流を図ることができました。その後、尚絅学院大学のホールへと移動してホールに布団を敷いて就寝しました。今までのツアーでは、仙台周辺の旅館などに宿泊していましたが、今回のツアーのコンセプトに基づき、避難所体験として大学での宿泊を決定しました。

 2日目はゆりあげ港朝市で朝食を食べました。ここでは、新鮮な海産物をその場で焼いて食べることができます。また、閖上の特産物も楽しめることができ毎週日曜日のみの開催にも関わらず非常ににぎわっており、今も昔も地域の方にとって欠かせない場所となっています。
 次に名取市内の体育館に移動して、「ろくもんす」と呼ばれる遊びを楽しみました。ベースを3つ置いた三角ベースのような遊びで、当時の閖上で親しまれていました。学生はもちろんですが、ツアー参加者の大人の方も汗をかきながら学生以上に熱中していた姿が印象的でした。

 ツアーの締めくくりは、津波で流されたお店が集まって営業している「さいかい市場」を訪れました。震災によって停止していた事業 の「再開」、お客様との「再会」のふたつの意味が込められています。遅めの昼食を取りながら、閖上の代表的な食べ物と言える閖上たこ焼きも食べました。たこ焼きを3つ串に刺してソースに漬けて食べるのが閖上たこ焼きで、地元の方々はこれをたこ焼きとして長年親しんできました。一風変わったたこ焼きにお客さんも興味津々で美味しそうに味わっていました。

 被災地である閖上の姿、前へ進もうと活動されている多くの方々、閖上の人々に愛されてきた文化など、様々な閖上を参加者の皆様に知っていただくことができていれば、これ以上嬉しいことはありません。アンケートでは各コンテンツごとに満足したという感想、同時にツアーの改善点などのご意見もいただき、今後の活動及びツアーなどのイベントに活かしたいと思います。

 震災から5年が経ち、閖上の町もかさ上げ工事が始まるなど少しずつ復興が進んでいます。しかし、閖上中学校の解体など、閖上からなくなってしまうものが少なからずあるのも現状です。新しい閖上ができてからも、それまであった閖上の魅力を外部に伝えていくことは私たちの変わらない使命であると考えています。今後も名取・旅おこし講は閖上の魅力を発信していきたいと思います。
名取・旅おこし講
文学部卒業 草刈 翔太郎